カテゴリー: 08 執筆生活

2010年10月26日

完璧な涙

言わずとしれた(?)、SF作家 神林長平の代表作の一つである。
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『ルークの冒険』では、「形」がテーマなのだが

「完全なる流線型」

という概念が出てくる。

流線型というのはもともと厳密な言葉ではなく、流れに沿った形ならみんな流線型といえちゃうので、実際には様々な形がある。

自動車だって新幹線だって飛行機の翼だって「流線型」だ。


では「完全なる流線型」とは。

それは涙滴型(るいてきがた)の流線型だ。
翼は普通、上面は丸くなめらかだが下はフラット、しかも横方向にはまっすぐの流線型。
ソーラーカーだと、上面は曲線的だがやっぱり下はフラット。

涙のしずくのような、断面が円形の立体的な流線型こそが、そうなのだ。

かつ、
・前は丸く、後ろに長い
・一番太いところを中心に、前後比は1:6
が最適という。

何が最適?

当然、抵抗の少なさだ。


単なる円盤の抵抗係数(Cd値)は、1.17。球形だと0.47。
水泳選手だと前後にきれいに長いので、0.3くらい。
プリウスが一般乗用車中 最小で 0.28。

それに対して、涙滴型流線型のCd値はなんと

0.04

である。
つまり同じ力で、ヒトの8倍進めるわけだ。

イルカがCd値 0.06と言われているから、海獣たちの水中適応性が如何に高いかよく分かる。ペンギンもしかり。



『ルークの冒険』には、チョーヘイと言うシャチが出てくる。
スピードに命をかける若きシャチだ。

そう。
彼の姿こそが、完璧な流線型、「完璧な涙」なのだ。



ちなみに『ルークの冒険』では、ペンギンのCd値も、問題になる。
でも、だれも研究していないようなのだ。困った。

自分で測るのかいなあ・・・・

2010年10月16日

『ルークの冒険』 第2ステージへ

本のタイプによって、ステージごとの重みは全く異なる。 

第0ステージ:いわゆる企画を通すまで 
第1ステージ:初稿をあげるまで 
とすると 
第2ステージ:デザイン 
である。 

新書や文庫だと、デザインの余地はあまりなく、「流し込めば終わり」状態である。 
フォーマットがあると言うことは低コスト化には効く。 
カバーのデザインもほとんどいらないから、帯デザインくらいしかない。 

でも、単行本は違う。 

判型もそうだが、紙の材質や厚み、カバーの素材や印刷の仕方まである。 
かつ今回は、中身のデザインがほぼ全ページにわたって発生する。 

図をどんな形にするか、どこにレイアウトするか。 
絵か写真かCGか。スペースの空け具合や書体の種類・・・ 


来週、今回お願いする(と、思われる)ムーブさんのオフィスにお邪魔する。 

確かに「断捨離のすすめ」のデザインはいいなあ、思う。

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9月に出た「30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)」もスゴイ。ビジネス書には、見えない。 
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いずれにせよ、とても楽しみなことである。 


親向けの本の方も、ようやく「目次案」が編集の方から出てきそう。 
オッとびっくりとなるか、さてさて。これまた楽しみ。

2010年10月16日

Think! 2010秋号 特集巻頭記事!「ハカる考動学」

秋号に『問題発見力』を主題に「ハカる考動学」の記事を書いた。 
特集の、トップバッターである。 

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9ページ。 
自宅での写真付き。 
よく見ると、バックの本棚は、びっしり漫画だったりする(笑) 

内容は「ハカる考動学」と「発想の視点力」の合成。 
でも、新ネタが結構ある。 


1. プロジェクト初期の3つの失敗 

・つまらない初期仮説 
・深まらない初期インタビュー 
・動かない初期分析 


2. サービス満足度調査の深掘り 

・家電量販データから読み取れること 
・個別時系列から因果がわかる 


KIT虎ノ門に見本刷りがいっぱい届いていた(広告主だから(笑)) 
でももって帰るの忘れた・・・ 

今に著者見本が送られてくるだろう~

2010年10月11日

『ルークの冒険』 初稿ドラフト アップ!

『ルークの冒険』を本格的に書き始めたのが、8/30。

当初の目標は「11月までに初稿をあげる」だったが、先日、一応完成した。
埋めてないところもあるので100%ではないが、95%完成でとりあえず。

出版社の担当編集さんにも送り、今は、次の段階待ち。


全部で180ページになったが、予定としては全ページ4色刷。つまりフルカラーだ。
大きさはB5かA4の大きめの判型。
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後半、知人とその息子さんに1章ずつ送って、読んでもらった。
とても有用なfeedbackをいっぱいもらった。
その上「はやく次が読みたい!」「親子で話せて楽しかった」という、うれしいコメントも。



執筆期間、35日間。

初めての「物語の創造」と「ワークブックの創作」。
ほんとうに、楽しかった。


次の段階、まずは、デザインを担当してくれる会社を決めて、その打ち合わせ。
これまでの本では編集さん任せだったが、今回は、そうはいかない。


もっとイイモノにしていくために、もう少し。

そしてそれがより多くの親子に届くために、まだまだがんばる!

2010年09月30日

『ルークの冒険』 第4章。紙コップはケナフ製?

環境問題はいったん収めたつもりだったが、ルークが「紙コップは資源浪費」と騒ぎ始めたので、また環境問題に(笑)

でも、まずは「紙コップの形のナゾ」を解いてもらう。

ここでも手を動かし、作って、試して。


そこから分かったことは、上端の輪っか(トップカールと言う)の意味と役割。
それは「使い捨てだからこその工夫」

だてに使い捨ての代表格じゃないってことか。


そして、最後にはまた紙コップの「3つのR」の話に。
Reduce、Reuse、Recycle。

イロイロ調べたけれど、ReduceもRecycleもまだまだ浸透はしていない。
でも「ケナフ製を買おう」と言わせてしまったので、私も実践しないとなあ・・・



節約だけじゃつまらないので、「日本紙コップタワー協会」も、紹介する予定。

2010年09月29日

『ルークの冒険』 第3章まで。石油とは何か・・・

第1章完成から、約1週間。 

第3章が出来た。 


第1章、円柱を探せ 
第2章、グラスの形のヒミツ 
第3章、ペットボトルの形 

である。まあ、順調でしょう。 


基本、パワーポイントのA4設定で原稿をつくって、ポスター印刷でA4二枚に伸ばして印刷している。 
それを重ねてB5版に切りそろえて、糊でぺたぺた貼り合わせれば試作品のできあがり。 

今日は各章の扉の絵もつくった。これは第7章まで完成。 
とはいえ、このままのデザインで生き残ることもないだろうし、原稿が完成したら「手作り試作刷」でもつくろうかしらん(笑) 


第3章を書いているうちに、今日、ふと思い立って書き加えたのが 
「石油は悪か?」というページ。 

もともと別のことが書いてあったページだが、思い切って全部落として書き加えた。 


ルークが尋ねる。 
「そもそも石油を使うことが、なぜダメなんですか?」 
「石油からつくったプラスティックはダメで、植物からのはいいのはなぜ?燃やせば両方、二酸化炭素出しますよね」 

それに対して、どう一言で答えるのか。 



答えるのは、ミタニ教授でなく、ミラ姉に任せた。 

「石油は地球が長年かけてつくってきた貯金なの」 

そしてその貯金には、過去の地球にあった二酸化炭素が詰め込まれている。 
それを今吐き出すのが、石油からつくったプラスティック。 

植物からつくったものは、今の地球から吸い上げたものを、また返しているに過ぎない。 
だから大丈夫。 


でも環境系の話は、ここまで。 

また、ルークは形のナゾの探究に戻るのでした~

2010年09月22日

『ルークの冒険』 B5版の試作品

今日は午前中、実務教育出版の堀井さんと打ち合わせ。

進捗の報告とこれからの進め方を議論した。
一番の問題は、膨大な量のイラストと、全体のデザインを誰にお願いするかと言うこと。

場所が高島屋SC南館のスタバだったので、そのまま5Fの紀伊國屋に行って、二人で売り場をうろうろ。

中学生向けのワークブックに、ちょっと気に入ったイラストが見つかり、その会社と担当者をチェック。


もう一つの問題は、「大きさ」
いわゆる判型である。

ふつうのビジネス書は四六判、といわれ、127×188mm。
これだとワークブックとしては小さいので、どうしようかと。

既存の子ども向けの本をいろいろ見てみる。

受験コーナーにある問題集やワークブックは、B5判 – 182×257mm(週刊誌程度の大きさ)が多く、大きいのだとA4版もある。

ただ、ストーリーものだと、四六判より一回り大きなもの(菊判?)が多いが、その程度であってB5とかはない。

さてさて。


とりあえず家に帰って作ってみる。

1章分だけA4原稿を二倍に引き延ばして印刷し、その周りを切り取って、B5版のものを試作。
28ページの小冊子。
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手に取ると、なかなか良い感じである。

ただ天地の余白が少ないので、そこは要調整。


1ヶ月前、初期のバージョンを見せたら評価が低かった、中一三女。
この形態で1章分を読んでもらったら、

「面白かったよ」

とボソリ。


よっしゃー (ノ^^)ノ

2010年09月16日

『ルークの冒険』 最終章と・・・

ストーリー部分の最終章、それは「ルークの冒険日記」だ。

これをどう書くか。

これまでのまとめと、次への布石と。


語り手はルークと決まっている。
でもどう書くか。


それより考えているのが、あとがき。
あとがきファンもいるようなので、がんばっている。


これは、そもそも、三谷として書くのか、ミタニ教授として書くのか、そして、誰向けなのかがあり、さらにはその形式は自由である。

時点すら。10年後から振り返って書いたって良い。


最後の、創作の楽しみ、と、苦しみ。



つまったら本読もうかな。

手元には『ペンギンになった不思議な鳥』『量子回廊』『デザイン思考が世界を変える』『とめはね!』など。

2010年09月13日

『ルークの冒険』のキャラクターたち

これまでの本で、キャラクターを造ったことは、ない。 

前著での「フクダくん」くらいだ。 
とはいえ、フクダくんは実在し、実名であり、ほぼあんな感じだった。(ただし、彼がやらかしたことはあの6割くらい) 

だから、純粋なキャラクターではない。 

今回のメインキャラはもちろん、ルーク。 
イワトビペンギンの子どもで、人語を解す。 

最初から決まっていたサブキャラは、ミタニ教授のみ。 
大学院の先生で、日中ヒマらしくほぼ毎日ルークの相手をしている。 

次に決まったのが、ミライ。 
うちの次女である。 
役柄未定のまま、登場だけが決まっていた。まあ、突っ込み役でしょうねえ。 


そして次が、じいちゃん。 
ルークの祖父で、イワトビペンギンの長老である。 
ルークに古の秘密を伝える。ルークはよく、じいちゃんに手紙を書く。 

もうひとり?長老。 
オーストラリアのフィリップ島に棲むコガタペンギン(=フェアリーペンギンと呼ばれる)の長老だ。じいちゃんの友人でもある。 


そして昨日、私の指先から突如登場したのが、チョーヘイ。 

海の覇王シャチである。 
彼は海中での世界最速を目指して、バショウカジキを研究している。 
それが縁で、ルークと友達になる。 



ストーリー部分は9割方、彼・彼女らによる独白である。 
じいちゃんへの手紙であったり、ルークへの挑戦状であったり。 

でも実は、全員が協力し合うのは、3巻目のでのこと。 



古の秘密の半分は、第1巻目『ルークの冒険』で解かれる。 
残り半分が2巻目。 
そして、3巻目では、いよいよ・・・ 


いや、まあ、ともかく。 
1巻目を仕上げないとね。 

進捗度合いが測りにくいが、ストーリーの8割は完了。 
ワークブック部分は枠はできたのであとは頑張って埋める。こっちはまだ2割。 


それにしても、シャチってやっぱりスゴい。 
最大体重10トン。ホッキョクグマを、捕食することもあるらしい・・・。

2010年09月10日

『THE21』10月号 本日発売

PHP出版の『THE21』10月号。 

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特集第2部の「成果が出ない人のための処方箋5」に登場している。 

行動科学で有名な石田淳さんら3名のインタビュー記事で構成されたものだ。 

1. 無計画型 
2. 思考不足型 
3. コミュニケーション不足型 
4. 反省不足型 
5. 早期あきらめ型 

の5タイプの「成果が出ない人」に向けた処方箋が、いろいろと(笑)


p34~48、ご笑覧あれ。
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私のコメントはあちこちに出現するが・・・
p42
「なかなか成果が出ないと、他にもっと自分に合った方法があるのではないかと思ってしまいます。実際にあるかもしれないしないかもしれない。結局は”青い鳥”なんです」

「成果を出すには、まずは一つのことを繰り返さなくてはいけないのに、身につく前に次へと移ってしまうことが問題です。勉強熱心な人ほど」

それでも目移りしてしまう人には?

「あきらめましょう」「結局は、どの方法を選んでも、それほど変わりません」
かな。
要は「勉強しすぎるな!」ということ。
自己啓発型メディアでは、禁句か(笑)