2024年07月15日

観る将(将棋観戦型ファン)の特殊な遊び方

日本将棋連盟が2021年から6回に渡ってクラウドファンディング(CF)を行った。
目的は、東京・将棋会館と、関西・将棋会館の立替費用の捻出だ。なので、目標はドカンと総額6億円だった。



そして結果は9.4億円! 延べ3万人弱ものヒトたちが支援した。

今回のCFで特筆されるのは、その支援者の拡がりだ。
私の知る寄付型CFの多くはA少数の高額寄付者、とB多数の少額寄付者、によって支えられ、その支援額全体に占める割合は、大体Aが6割といった所だろうか。
しかし今回の結果はまったく違うかたちになった。寄付に対するリターン(返礼品)は最高350万円のものまで数十種類以上あったが、最大の寄付を集めたリターンは「藤井八冠ピカチュウ」だった。
ピカチュウのぬいぐるみだが、ちゃんと藤井聡太が八冠奪取した際の和装をしていて、赤い座布団に座り、本人書き下ろしの「王将」の揮毫入りの将棋のコマを持っている。これは素晴らしい。



寄付額(単価)は最小レベルの1.2万円。しかし支援者は最大の8630人に上り、支援額は約1億円。全支援額の4割弱を占めた。
これぞクラウドファンディング。群衆(Crowd)パワーだ。



私は昔から羽生善治さんファンで、彼の書いた本を読んだり、棋士たちの話を読んだりしてはいた。ただ、若き天才 藤井聡太の登場と、ABEMAによる将棋フル中継、そしてさまざまな将棋系YouTubeチャネルの出現によって、完全なる観る将(観戦型の将棋ファン)となった。
このCFにも第1期からずっと支援し続けている。同時に分析好きな元経営コンサルタントとして、いろいろな分析を行なったりもしている。上記のグラフなどはそのひとつだ。
「観る将の特殊な遊び方」の一例と言えよう(笑)


この4年に渡るプロジェクトを率いた現役棋士がお二人。中村太地(たいち)さんと糸谷哲郎さんだ。棋界の大卒コンビだ。(お二人によるCF説明動画はこちら
二人は新会館建設プロジェクトのときから関わり、資金獲得のために立ち上げられたCF委員会では棋士側の面倒ごと(?)を引き受けた。特にダイジだったのは「リターンの企画」だっただろう。棋士たちをどう使うのか、棋士だけでなく外部とのコラボレーションをどうするのか、どれだけ多くの支援者に響くものにする活動にしていくのか。
トップクラスで戦う現役棋士だからこそ、この企画は成功したのだと思う。お二人の尽力の賜である。
この一連の活動のテーマは「将棋を次の100年へ」だった。私もその一部となれたことが、とても嬉しい。