カテゴリー: 11 一般的考察

2014年01月14日

圧力鍋はホントは「高温料理鍋」だった。ボルツマン分布の意味

昨晩、長女がLINEの「おやこ」グループに投稿しました。


圧力鍋.jpg

友人の宿題(今朝が期限(笑))ならしいのですが、自分では刃が立たず、次女に助けを求めていました。某女子大の数物科学科の問題です。
見てみると、かなり興味深い。

・圧力鍋は圧力をかけることで水の沸点を上げている。ふつうは2気圧で120℃になっている
・これにより調理(熱分解反応など)スピードが3~4倍になる
と。
え、そうなんだ。圧力で調理しているわけでなくて、120℃という「高温」で調理を加速しているの!?

う~ん、流石にピンときません。たった20℃上がるだけで、料理スピード(=熱分解反応速度)が4倍にもなるの!?
絶対温度でいえば、100℃→120℃は、373K→393Kで、たった5.4%の増加に過ぎません。
それが、反応速度を4倍にあげるなんて…

ああ、でも違います。この世界は指数関数によって支配されているのでした。
もしexpXとexpYで、XとYに2倍の差があれば、その差は4倍になる!
これが、20℃高いとあっという間に煮上がり、20℃低いと永遠に煮上がらないヒミツでした。(この計算の詳細は下部で)

調べたら、常温帯では「10℃上がると反応速度が2倍になる」というアレニウスの法則、なんてものまでありました。
ふむふむ、なかなか勉強になったことでありました。

本当は、大学時代に、やったはずだがなあ……。

—————————————————————————————————-
以下は数学・物理好きの方向けです(笑)

問題文には、ご丁寧にボルツマン分布の式や解説が書いてあったりします。
そこから計算するのはちょっとおいておいて、まずはボルツマン分布について調べてみました。すると「アレニウスの式」なんてものがあり、問題文のそれとほぼ同等です。

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左辺のkは反応速度を表します。
スウェーデンのスヴァンテ・アレニウスが1884年に提出した、ある温度での化学反応の速度を予測する式で、ヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフによりこの式の物理学的根拠が与えられた、とWikipediaにはあります。

計算すると確かに常温帯では「10℃上がると反応速度が2倍」になります。なんと!
反応速度は、イコール、モノの劣化速度だったりするので、半導体などの世界で使用環境の温度が10℃下がると寿命は2倍に伸びるという「10℃2倍則」(=アレニウスの法則)として有名なようです。
「100℃で2000時間保つ」コンデンサがあったとして、それをいちいちテストしていたら3ヶ月もかかって大変です。なので、160℃にして何時間保つか調べるわけです。そこで250時間、つまり10日半保てば、「100℃で2000時間保つ」と言える。それがアレニウスの法則なのでした。
よくモノを高温にして劣化テストをやる(経年変化の加速試験)のですが、こういう裏付けがあったんですねえ。

さて話は圧力鍋に戻ります。

もともとの問題文にあるボルツマン分布の左辺は、P(E)でした。
分子ひとつがあるエネルギーE以上である確率です。それを越えると「反応する」ので、それが多いほど、反応速度はあがるわけです。
20℃上がることで反応速度が4倍になるのが正しい、とすると、P(E)120℃=4 × P(E)100℃ ということになります。
P(E)120℃/P(E)100℃=4 であり、これは、exp(E/kB(1/373-1/393)))=4
与えられたkBボルツマン定数などから計算すると、E=1.40×10-19

ここから、
P(E)100℃=15.6%
P(E)120℃=62.3%

で、確かに、P(E)120℃がP(E)100℃の4倍になっていることがわかります。

以上

2013年11月23日

日経ビジネスの常識 その1 :就活に黒スーツは社会・企業のルール

2013.8.23号の「女性昇進バブル ~わが社の救世主か 疫病神か」で、世のほとんどの女性(と相当数の男性)を敵に回した日経ビジネスであったが、2013.10.28号でも面白いコトを言っている。


日経ビジネス曰く「企業の採用担当者は、学生が黒のリクルートスーツを着ているかどうかで、社会人としてのマナー、ルールを遵守(原文では順守)できるかどうかを見ている」のだそうだ。

p78~81は「連載 企業と学生のシューカツ革命 4」、取材班2名の連名記事である。

2013-11-23 12.44.45.jpg

記事本文は、日本企業が海外の学生や、日本に留学する外国人学生を採用するようになってきたことに焦点を当て、その成功のためには人事制度改革にまで踏み込まなくてはならない、とするもの。

それほど斬新でも深くもないが、一部をのぞけばおかしなコトも書いてはいない。

でも、欄外のQ&Aコーナーに凄いことが書いてあった。
「大学生読者のギモンに取材班が答える」ということで、「Q リクルートスーツの色は黒で無くてはダメですか?」との問いが立てられている。
へ~、黒なんだ、と思いつつアンサー欄を見てみるとまずは、はるやま商事のコメント。

・2006年頃までグレーやネイビーも売れていましたが、ここ1~2年はほとんど黒しか売れていない

と紹介している。ここまでは、事実であるから別にいい。しかし、ここから、編集班(上記お二人)の文が続く。

・男性は黒無地・2つボタンのスーツに模様のない真っ白なシャツが基本で、ネクタイはえんじ色、紺色が主流
・女性も黒のスーツです。基本はスカートです。スカートの方がフレッシュな印象を与えます。ストッキングは肌色が基本です

まあ、記事本文中の写真に写る学生たち(某社内定式)のネクタイ4本のうち、ひとつも「えんじ色や紺色がない」のはご愛敬としよう。
でも、ここからが酷い。まず取材班は、はるやま商事コメントを借りてこういう。

・スーツやシャツの色で個性を出したりするのは「外資系、アパレル、マスコミといった業界を除き避けた方がいいでしょう」(はるやま商事)

まず、なんで、はるやま商事にそんな判断が出来るのか、まったくわからない。学生の追跡調査でもしているのか?もしくは、業種別の人事部にアンケートでもとったのか?

で、ここからが編集班の純粋コメント。

・採用担当者は就職活動の服装をきちんと守るかどうかで、社会人としてのマナー、ルールを遵守できるかどうかを見ています

一体どこの企業が「就職活動中の服装は黒のスーツ」というルールを示しているのだろうか。私は寡聞にて知らないが、取材班によればそれが「守るべき社会人としてのマナー、ルール」なのだという。しかも、2006年まではグレーやネイビーも売れてたんでしょ? それが数年で「黒がマナー」ってなんなの?ネイビーを着ていったら、企業の採用担当者が「こいつはルールを守れないヤツだ。落とそう」って思うの? 本当に?? 昔はみんな紺ばっかりだったじゃない!

取材班が言っていることは要は「お前らは空気を読んでそれに従え」「私たちはマスコミだから関係なかったけどね」ということだ。
記事本文は「日本企業は外国人に頼らなくてはならないほど追い詰められている」「先進企業は人事制度改革まで踏み込んでいる」というトーンなのに、欄外では「日本人らしく空気を読め」「出る杭は打たれるよ」との本音が全開である。

これを矛盾と思わないのか? この部分だけ誰かに外注したのか? 誰も内容をチェックしていないのか?

最近、本当に「日経ビジネスって大丈夫なのか」と思ってしまうのであった。

ヒトと違うことの気持ち悪さに耐えられるヤツじゃないと、いい発想なんて出るわけがない。
ヒトと違うことの怖さに耐えられるヤツじゃないと、自ら意思決定なんて出来るはずがない。
なのに、ヒトと同じであれと、大人がしたり顔でアドバイスしてどうする!

でもきっと、はるやま商事の言う「最近は黒しか売れない」は事実なのだろう。
せめてそれが「紺と違って、あとから礼服としても使える」という学生たちの合理的判断による
ものでありますように。

2013年11月21日

宇宙人。問題はいるいないではなく、会えるか会えないか

昨日は神奈川県の希望ヶ丘高校にいってきました。
総合学習の時間に、7人の生徒さんとのお話しです。

いつものように「決める力」や「発想力」のスキル研修をしてもよかったのですが、趣向を変えて
・私の好きな話をする
・質問を考える
・それについて議論する
を2回転することにしました。

で、選んだのが「恐竜・地球・ヒト・宇宙人」

前半、恐竜の話をいっぱいして後半、宇宙人と地球の話をしました。
宇宙人の話は短くて、スライド2枚でこんな感じです。(内容を一部修正)

1枚目:合理的推論に基づく2つの前提
————————————————————–
1. 宇宙人(地球外知性体)は存在する
・地球型惑星は多い。銀河系だけでも恒星2000億個×8%×22%=40億個
・その1%に知性が生まれるとすれば4000万!

2. しかし光の速度は超えられない
・もし超えられるなら、タイムマシンが可能。となると宇宙の歴史はガタガタに
・銀河間の交流はほぼ不可能(アンドロメダ銀河まで片道239万年)
————————————————————–

地球型惑星の発見はここ数年の天文学のトピックスでした。
そしてこの11月4日には、UCLAバークレー校のチームが驚くべき発表をしました。
「太陽に似た恒星の22%に地球型惑星が存在する」

8月に運用を終えたケプラー宇宙望遠鏡の観測結果では、調べた42000の恒星のうち、地球型惑星(サイズが地球と同じか2倍程度で、公転距離が太陽と地球との関係に近い惑星)を持つのはたった10個でした。
しかし、ケプラー宇宙望遠鏡は、恒星と惑星の食(重なって恒星の光が暗くなる)を利用して観測するため、惑星の公転面が地球からの方向と一致しないと観測にかかりません。
それを補正すると、上記の結論になるというわけです。

すると恒星はわれらが銀河系だけでも2000億個あるので、440億個もの「地球型惑星」が存在することになります。いや本当は「太陽に似た恒星」なのでそれがG型主系列星のことだとすると、その8%弱で40億個。
その1%に知的生命体が生まれるとすれば、4000万になります。

この銀河系は、4000万種もの知的生命体で溢れている!!!


ころが話はそう簡単ではありません。
文明の存続期間、種の存続期間が問題になります。

たとえば地球自身が「知的生命体が生まれた星」なわけですが、宇宙人が1億年前に訪れていたら、どうでしょう?宇宙人たちは恐竜の群れを見て帰っていったことでしょう。

10万年前でも大差ありません。われわれはコミュニケーションできずに終わったでしょう。
じゃあ、10万年後だったら?

人類は果たして10万年後も、今の文明を維持してるのでしょうか?
もう種として滅んでいるかもしれません。

4000万の知的生命体は、その文明の存続期間によって隔てられているのです。

ゆえに、もし各文明の存続期間が10万年の長きにわたったとしても、銀河系の中に同時に存在する文明は、1000足らずになってしまいます。


光の速度を超えられるなら、問題ありません。
宇宙戦艦ヤマトのようにワープをくり返して、14万8000光年先のイスカンダルまで1年で往復です。
1000の知的生命体(宇宙人)と自由に交流を楽しめるでしょう。でも前述の通り、それは多分ムリ。光速はきっと超えられない。

そうするとまず、銀河系外の知的生命体との交流は絶望的です。お隣のアンドロメダ銀河でも239万光年離れているので、最速でも往復で500万年かかります。文明がもちません。

直径10万光年の銀河系内でも、1000の文明が均等に散らばっているとすると、最寄りの文明まで3000光年以上の距離があります。

銀河系.jpg

今のわれわれの科学水準では、光速(秒速30万km)の0.02%(秒速60km)にしか達していないので、先は遥か遠いですがなんとか亜光速航行ができるようになったとして、やっぱりお隣まで3000年以上かかります。
われわれの文明が滅びるまでに、果たしていくつの文明と出会うことができるでしょうか。

そう、問題は宇宙人が「いるいない」ではないのです。
地球型惑星はありふれており、おそらくそこで多くの知性体が生まれているでしょう。そしてその中には圧倒的なテクノロジーで、亜光速航行を実現し、宇宙への旅を実現する者も出てくるでしょう。
でも、時間の壁が立ちはだかります。
その文明自体がどれだけの期間もつのか、訪問先の文明がどれだけもっているのかが問題なのです。われわれが真に宇宙人との邂逅を望むのであれば、この文明を10万年はもたせないと、ならないのです。

2013年10月22日

ミツヤの森のブランコノート2:お土産編


昨日また、いつもの2人の女の子が遊びに来てくれたそうです。
そうしたら母になんと、こんなお土産を。

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自分たちのおやつだったのでしょうが、そのお裾分けです。

母はお返しに先日大阪でゲットしてきた「面白い恋人たち」(北海道土産の「白い恋人たち」をもじったもの(笑))をあげたとか。

ブランコノートは、つながりを生んでいくのだなあ。不思議なことです。


女の子たち、昨日はブランコを「2人乗り」で楽しんだそう。
雪が降ってブランコが使えなくなるまであと2ヶ月弱。楽しんでね。

2013年10月08日

ONKYOの良心とその納期・品質:DS-2000HRからD-77MRXへ

これまで書斎(兼オーディオルーム)では、スピーカーとしてDIATONE DS-2000HRを使っていました。1台の重さが42kgある、大型ブックシェルフ型スピーカーです。どう考えても「本棚(ブックシェルフ)」には入りませんので、机の下が定位置です。


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そうでした、このスピーカーを書斎机(OPUS)の下に入れるために、わざわざOPUSの背を、4cm高くしたのでした。それからもう5ヶ月。私はDS-2000HRの買い替えを決意しました。


このサイズのもの、最近では国産品をとんと見かけなくなりました。それは単純に、買う人がいないからなのですが、海外製となると1本50万円、左右セットで100万円とかいう途轍もない値段になるので、とても手が出ません。しかし1988年製のDIATONE DS-2000HRをいつまでも使っているわけにもいきません。いくらDIATONEの名器、当時のフラッグシップと言えど、もう25年選手です。
なのでほぼ同型のONKYO D-77MRXに買い換えることにしました。

d77mrx_main.gif
 
もちろんこの選択に至るまでには、価格コムを筆頭とした、ネットでのクチコミ情報に大変お世話になりました。時間も、3ヶ月間は掛けたでしょうか。

そして結局、現物の試聴には行かずONKYO DIRECTという直販サイトで買いました。こんなの試着もせず、20万円のスーツを買うようなものです。なぜそんな無謀なことをしたのでしょう? 

理由(言い訳)はいろいろあるのですが、
・耳にそんな自信がない。このレベルだと自分の耳よりネット上の「賢者」たちの声の方が確か
・高級オーディオショップに試聴に行っても、自宅と環境が違いすぎて参考にならない
・現行のスピーカーと聴き比べたいが、家から持ち込まない限りムリ
という感じでしょうか。

そもそも今回は大きさ(大型が欲しい)や予算上、選択肢がほとんどなく、買うかどうかの見極めはひとえに「現行のスピーカーDS-2000HR に匹敵する音が出るか」に依っていました。そしてそれが、試聴してもよくわからないとなれば、ネット賢者たちの声に頼るしかなく、そうであればそのまま通販で買ってしまえばいい、ということです。

価格コムの書き込みに、こんなのがありました。
「D-77MRXはONKYOの良心と呼ばれている」

こんなこと書かれちゃ、買うしかありません。

ONKYOは、それほど需要のない大型ブックシェルフ型スピーカーを2000/02/15に発売後、13年半の間、廃番にもせず良心的な価格で(2011年に72000円から110000円に改定)作り、売り続けています。
DS-2000HRよりはもちろん(価格的に)1~2ランク落ちるわけですが、設計時期の違い(13年分 新しい)、生産時期の違い(25年分 新しい)に期待です。

DS-2000HRの後継として「なに」を買うかは決まりました。そうしたら次は「どこで」買うかの問題です。
視聴しないのでネットでそのまま買えばいいのですが、選択基準として

・納期
・保証
・対応
・価格

がありました。
価格コムでは定価が1本11万円に対して、最低価格のお店だと81000円(送料込み、10/8/2013時点)。庫品ありで、即納可の店でも82000円だったりします。保証はメーカーの1年保証で、5年保証を付けたら価格の5%増しになります。
対して、メーカー自身の直販サイトであるONKYO DIRECTでは「納期未定」「価格は99800円」「ポイントが13972pt付く」「3年保証」でした。

つまり、一般のオーディオ通販サイト vs. メーカー直販サイトは、

・納期:即納 vs. わからない
・保証:5年で5% vs. 3年無料
・対応:不明
・価格:82000円 vs. 85828円(ポイント分引いて)

でした。
流石に納期が知りたかったので、ONKYO DIRECTのHPで問い合わせました。そうしたら・・・・返事がありませんでした。残念。

・対応:直販いまいち

やっぱり納期は気になるので、コールセンターに電話しました。
そうしたらちゃんと調べてくれて「11月になります」と。

・対応:直販まあまあ

う~~~ん、でも11月かあ。ところが、直販サイトには「9/16までならWポイント」の文字が!
それなら、

・価格:84460円(保証3年分加えて) vs. 718568円!(ポイント分引いて)

と大逆転。もちろん、このポイントは直販サイト内でしか使えないので、この後ONKYO製品で気に入ったものがなければただ数字です。楽天ポイントとは違います。
でもこれで踏ん切りが付きました。どうせなら、直販サイトで買おう!と。

ONKYOの良心を応援したかったのと、この後のサイトの対応を知りたかったからです。
製品の品質を直接語れる相手として選んだという感じだったでしょうか。

ただ納期については、さらに急遽の変更がありました。
10月初めに「商品が確保できたので送りました!」と。
朗報ではあったのですが、DS-2000HRの行き先も決めておらず、だいぶバタバタすることになりました。納期って早けりゃいいモノじゃ、ないのです。(その苦情については、すぐ対応いただいた)

・対応:下がって戻る

翌日は、42kgのものを2基、25kgのものを2基、長女と2人でえっちら運び、無事に設置できました。
そして、音を鳴らしました。最初で最後、DS-2000HRとD-77MRXの音の比較ができる瞬間です。
結論で言えば、音の差はありました。D-77MRXも十分に低音をしっかり鳴らしていますが、DS-2000HRほどのソリッド感・透明感はありませんでした。(そもそも定価で倍以上違うものを比べるのがおかしいのだが)

でも、高さに少し余裕が出来たので、スピーカーの下にインシュレーターを置いてみました。
オヤイデのインシュレーター INS-SPとスパイク INS-USを2セットで、6800円也。ステンレスの削り出し。1個耐荷重が200kgなので、4組で800kgに耐えられます(笑)

これで少し、低音のキレが改善しました。

今のところ、D-77MRXは快調です。馴らしが進めばもっといい音を鳴らすようになるでしょう。とても楽しみです。「ONKYOの良心」の品質を、じっくり確かめたいと思います。
そして、これからのONKYO DIRECTの対応も。

2013年08月30日

小学1年生。この稀少で偉大なる可能性たち

先日、小学低学年向け授業と、高学年向け授業を1日の午前午後で行いました。

一般論で言えば、やりやすいのは高学年。低学年は、コントロールが簡単ではありません。下手をすると「おしゃべりしない~」「ちゃんと聴いて!」と叫び続けることになります。

でも、今回は違った側面が強く見えました。
・行動も考えも発言も自由奔放で発想向きの低学年
・抑制が効きすぎて動けず発想が硬い高学年
です。

これまでも芦花小学校や、関口台町小で、1年生中心の授業やワークショップをやってきました。
今回も低学年は7割が1年生で、その子たちはぜんぶ女の子でした。
授業がはじまる前から、女の子たちは大騒ぎ。その前日に初めて出会った子たちがほとんどだというのに、もう完全に「お友だち」です。「○○ちゃん、今日も席いっしょだね~」

すぐに私のところにも何人かが寄ってきます。隠してある小道具たちを見つけては「これな~に?」「きょうは何するの~?」「早くはじめようよ~」
道具を触っちゃダメと言うと、もちろん触りたがります。触っては私に追いかけられて、きゃあきゃあ言いながら逃げていき、また触りに来ます。

ひとり、お仕置きにこちょこちょすると、別の子が寄ってきて「私にもこちょこちょして~」
その子をこちょこちょしていると、次の子が来て…。

いきなり体力勝負です。

発想力授業は120分もある長~いものでしたが、ほとんどの子どもたちが集中を切らさず、取り組みました。
そして何より、どんどん考え、チャレンジする姿勢が素晴らしい。
プロジェクタースクリーン上の丸太の長さを「ハカる」ときも、そうでした。

どうやったら、2つの丸太の長さを比べられる?どっちが大きいか、どうしたらわかる?
の問いに、すぐ声が上がります。「じょうぎではかる!」
じゃあ、やってみよう!と振ると、得意満面、定規を持って前に出てきます。

背が低すぎて、上の丸太にはまったく手が届かないというのに…。
困っていたので私が持ち上げて、助けてあげました。

残念ながら、定規が小さすぎてダメでした。うまく測れません。

定規じゃ測れないね、どうしようか?と問うとまた1年生が叫びます。
「もっと大きいものでハカる!」
大きいものは、何があるかな?

「ボクのふでばこ大きいよ!」
「この紙ではかろう」
「2枚くっつけたら大きくなる!」
どんどん、アイデアが出てきます。

一つ一つ試していって、ついに2つの丸太の長さを測定することに成功しました。
大盛り上がりの10分間でした。

午後、同じものを、4年生主体の高学年向けにやりました。
どうやったら、2本の丸太、どっちが長いかわかるかな?

しーーーん、としています。
しばらくすると「ハカればいいけど、定規が小さすぎるからできない」と。
そんなのやってみなきゃわかんないよ~。

じゃあ定規以外で測ってみよう、と水を向けるとまたもや、しーーん。
「なに使えばいいかわからないよ
そんなのいろいろ試してみれば良いじゃない~。

いわゆる頭の良い、科学への関心度の高い高学年チームでしたが、「座って悩まず動いて考える」力は1年生に完敗でした。
その中でも、一番動けていたのはたったひとり女の子だったでしょうか。
いっぱい手を動かして、足を動かして、話して、頭を使っていました。

発想力の最大の敵は、知識です。
「知ってる」と思ってしまう心です。
なんでも「当たり前」と思う「あと知恵」バイアスが、ヒトを発見や探究から遠ざけます。

この1年生(女子)たちが、このまますくすく育ちますように。
その動く力・話す力を失わず、心を大きく育てていけますように。
がんばれよ~~~。

高学年の子どもたちも授業の後半、結構良くなってきました。
少しずつ、動けるようになっていったのです。っぱり練習次第なのです。
最後のアンケートに6年生の男の子がこう書きました。

・自分の身の回りにこんなにふしぎがあるんだと思いました。それなら、まだ誰も見つけたことのないふしぎを見つけようと思いました。

期待してるよ!!!

その他、参加者のアンケートから
・ほんとうは私は、べんきょうがむずかしいとおもっていましたが、べんきょうになったと思います。またよろしくおねがいします。(小1女子)
・「くうきってどのくらいおもいんだろう?」とおもっていたけど、たいけいんしてみてすごくたのしかったです。(小1女子)
・体で感じたり、比べたり、はかったり、いろいろなことを学んだ!(小4女子)

2013年08月13日

空に願いを~光芒

星に願いを、とおもいましたが東京はあいにくの雨で、ペルセウス座流星群は楽しめませんでした。

悔しいので、空の写真を何枚か。

光芒(こうぼう)、です。

KIT虎ノ門大学院の研究室からの空。
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エバンゲリオン13号機が降臨してきそうです。

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こちらは福井の空。
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広くて、空に奥行きがあります。

そして再び、KIT虎ノ門。
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ビルの向こうから、夕陽の光芒が射しています。

光芒とは、筋のような光の輝き。一筋だって構いません。

芒(のぎ)は稲の籾の切っ先。
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芒(すすき)とも読むので、光芒とは、「光の穂」なのかもしれません。


流れる星たちの一瞬の光芒、福井ではきれいにいっぱい見えたそうです。

2013年08月05日

京浜東北線の残念な若者

ある春の朝。京浜東北線で。
大井町から、東京駅に向けた6駅15分のお話しです。

残念な若者、その一。

若いサラリーマンが座っていました。
熟睡、しています。乗り過ごさないか心配です。

彼のポケットでは途中でピーピー、スマホがアラーム音を発しはじめました。
エライ。彼はちゃんと乗り過ごさないように、手を打っていたわけです。
どんどん音は大きくなり、車内のみなが彼に注目しています。

でも、彼は熟睡を続け、1分後、アラーム音は止まりました。

もう2駅進んだところでまた、アラーム音がなり始めました。おお、こっちが本命か!

でも、彼は熟睡を続けます。アラームもじきに止まってしまいました。

さらに2駅進んだところで、私の降りる駅(東京)に着いてしまいました。
誰も起こさないというのも可哀想だと思い、私は降り際に、彼に声をかけ、頭を3回、( ´_ゝ`)σ)Д`)ツンツン してあげました。

でも、反応はありません。
「大物だ」。私はホームに降り立ちました。

彼の行く先と、行く末が楽しみだなあ、と思いながら。


夕方、こんどは東急の田園都市線で。
残念な若者、その二、です。

斜め前に座っている若い女性。
オメメぱっちり、鼻の下は顎まで大きなマスクで覆っているいでたちです。

なにげなく見ていたら突然、マスクの下部を少しめくって、飴をパクリ。
真っ白なマスクの下からいきなり、赤い開いた口が出現したので、かなり不気味でありました。

本人は気づいていないだろうけれど。
そしてその女性、今は熟睡中。

やはり彼女の行く先と、行く末がちと不安であったのでした。
このことを話したら、家人も「自分もやるかもしれない」と。
みなさん、気をつけましょう。

2013年06月07日

大江戸線の天使

昼過ぎ、都庁方面から青山一丁目に向かう大江戸線。結構混んでいる。
座ったものの、向かいの席も人がいっぱい。

新宿駅で多くの人が降りた。

ふと見ると、向かいの席にSuicaがコロリン。なんと!

素早く拾って、ホームに降りて、声を上げる。
「誰かSuica落としてませんか?」

でも、反応はなく、たまたま目があったお嬢さんも、クビを横に振る、、、

さあ、困った。

一旦、電車内に戻るが、さてこのSuicaをどうしたものか。
しばし、ドア近くで悩む。

ホームのベルが鳴る。

ああ、仕方ない。改札まで持っていってあげるか。きっと落とし主はそこで立ち往生するはずだし。

と、決めて電車を出たら、さっきのお嬢さんがこちらを見ている。
唇が動く。

「持って行きましょうか?」

天使だ!

「お願いします」とSuicaを渡す。そして電車に、、、

と、思ったがドア(正確にはホームドア)は目の前で無情にしまり、私はホームにポツリ。

お嬢さんは少し、申し訳なさそうな顔をしてから、軽く会釈をして改札へと歩き出す。

ま、次の電車ても間に合うのは、電車に乗る前から確認ずみ。だから改札までSuicaを持っていこうと決めたのだし。

大江戸線 新宿駅。15秒間の、お話しでした。
結果的には、小さな親切の、連携プレー、となったかな。

2013年05月17日

OPUS by Time&Style 本日納品。書斎3.0!

これは、アートだと思った。Time & Styleのダイニングテーブル、OPUS、だ。


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玉川高島屋SCのお店の、一番前に置いてあったそのテーブルを見たとき、ゾクッとした。
その美しいX字脚、そして何より限りなく薄く見えるエッジの効いた天板。
でも全体には柔らかなカーブが多用され、天板の真ん中には細長い楕円の溝も。
書斎の机にしたい、と思った。

それが2ヶ月前のお話し。

何日か、迷った。
いや、迷ったのではなく、自分の気持ちを試していた。この器にふさわしい、使い方が自分にはできるのか?と。

材質は、ウォールナットを選んだ。そうちょっと憧れる、あの濃い落ち着いたヤツだ。
天板の仕上げは、あえて、蜜蝋ワックスにした。ウレタンクリアでもオイルでもなく。
担当の錦山さんには何度か念を押された。「手入れの手間がかかります」
彼女は「大丈夫か?」とまでは言わなかったが、水を嫌うこと、でも湿気は必要なこと、数ヶ月に一回ワックス掛けしなくてはいけないこと…。

ちょっとだけ、びびった。
でも、蜜蝋仕上げのOPUSの手触りと色は、そんな私の背中を押した。「頑張る価値はある」
なんども展示品を撫でながら、そう感じた。

テーブルの両脇下に大型スピーカー(DIATONE DS-200HR)を置くために、結局特注品になった。
3㎝、高さを上げてもらったのだ。工場で、X字脚の上部接合部分を、きちんと延伸してくれるという。

発注してから1ヶ月半。今日がそのOPUSの納品日だった。
当然朝から、書斎の片付けである。

これが、
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1時間半でこうなった。
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計算通りなら、このスピーカーもPCも、机の下に綺麗に収まるはずだ。
この日に備えて、ディスプレイはすでに、宙に浮かせてある(笑)

9時過ぎ、予定通りトラックが到着。Time & Styleのお二人も、同席のうえでの搬入作業が開始された。

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ちゃっちゃっと天板と脚部に分解され、書斎へと運び込まれていく。
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これが職人の手による接合部の延伸。もともと断面がリーフ型だから、難しいと思うがお見事である。
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そして、書斎3.0は、こうなった。

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比べると、
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こうだ。

でも、このミニマル状態を、さて維持できるのか・・・。
ま、頑張ってみましょう。ものをちゃんとあるべき所に戻し、紙はどんどんpdf化し、不要なものは捨てる。
そして半年に一回は必ず、蜜蝋ワックスを塗る。

このデザインと感触を、味わい続けるためなら、やってみようじゃないの。

人の習慣さえを変える力を、優れたモノは、持っている。


もちろん、まったく安くは無いのだが、『経営戦略全史』、3刷2万部のお祝いかな。