2012年02月19日

芦花小の6年生から科学教室『ルークの冒険』の感想文集が!

1/27に行った、科学教室『ルークの冒険』@芦花小学校。
昨年から6年生全員を対象に、開催しています。

今年も6年生の3クラス106名がプレハブ校舎の理科室で、円柱とグラスと紙コップのフシギに取り組みました。
45分授業なので、多くは出来ません。でもみな最大限の集中をみせてくれました。

それから3週間。家に芦花小から大きな封筒が届きました。
なんだろうと開けてみると、106名分の感想文集です。

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それにしても素敵な表紙!
誰が描いてくれたのでしょう。(そしてなんでヘビなんだろう?(笑))

クラスによっては同内容の感想が多くて「先生の指示に引っ張られたかな?」というのもありましたが、ほとんどの子どもたちが「自分の言葉」で感想を書いてくれました。

中でも「授業後すぐ質問に来た」女子が、「それは私たちです!校長室にすぐ本も借りに行きました!」となんと表裏にびっしり感想を書いてくれた。ありがとう。

さて、もらった感想の中でも、秀逸と感じたモノを紹介しよう。
みなの感性と行動力に、拍手。

1 「物事の一つ一つにはそれぞれ意味があり、意味のないことなど一つもないのだと分かりました。私は勉強の見方が少し変わりました」6-2 ST

2 「追究することの楽しさ、分かったときの喜びを感じました。私はこれから自分が色んなことに関心を持ち、不思議を追及できるような人になりたいです」6-2 SS 

3 「紙コップにそんな科学があったのかと想い、前よりもっと科学が好きになりました」6-2 HS 

4 「自分が身の回りにあるモノについて全然見ていないことに気がつきました。これからは不思議に思ったことを、考え込まないでいろいろ試そうと思います」6-2 HM 

5 「自転車で新大久保まで行けるか、行けるなら何分かかるか、今はパソコンで調べているだけなので今度の土曜に実際に行って確かめてみます!」6-3 ??

6 「紙コップにあれほど深い仕組みがあるとは知りませんでした。こんなに深く考えたことがなかったので、これからは動いて考えます」6-2 YK 

7 「当たり前だと思っていた『座って考える』が、『動いて考える』に変わると、授業の内容も分かりやすかったし、あきなかったし、驚く発見がたくさんありました」6-2 AU 

8 「授業は座って考えて、たまにとなりの人と相談したりする『考える』ものだと思っていました。そんな私の常識がくつがえされました」 6-3 AC 

9 「いろいろな方法で試し、考えや答えをみちびきだすことがどれほど楽しいことなのかを学ぶことができました。三谷先生がとても楽しく授業をしてくれたことは、きっと忘れられないものだと思います」 6-3 CA 

10 「ずっと座って考え続けるより、立って足も手も使うことで頭がリラックスして、いろんなことが思い浮かぶようになりました。これからもやっていきたいです」6-3 MH

11 「今までにない、不思議という心を持つことができました。分からなくなったら、不思議に思ったら、まず動く。それを常に実行していきたいです」 6-2 HM 

12 「三谷教授に授業をしていただきわかりました。わからないことがあったら、「動く」「さわる」「比べる」ということをすれば絶対にわかる、ということを」 6-1 YH 

13 「モノには一つ一つエピソードがあるのだということ、モノの形には理由があること、がわかりました。将来はそのようなことを子どもに伝えます」 6-1 SY 

14 「今日やった実験で、これから私たちが『なくてはならないものを作り出す』のだということを伝えたかったのではないでしょうか?紙コップのふちはなくてはならないもの。これから先どんな、なくてはならないもの、が出てくるのか楽しみです」6-1 RT

そして、「芦花中に行きます。芦花中でもよろしくお願いします」という子もいれば、「ぼく達と会うのはもう無いかも知れませんが、次の学年にも科学教室を開いてください」という子も。どちらも、うれしいね。

『座って悩まず、動いて考える!』と「対照実験」
それが、中学生になるみんなへの、私からのプレゼントです。

2012年02月14日

8-17=白9。三女のヴァレンタイン狂想曲

8個渡して17個貰ったらしい。(クラスの女子は14人・・・)

三女の今日のチョコ収支である。
圧勝である。(何が?)

で、もらっただけの人には「ホワイトデー待っててね」と。

そして、12人からのチョコがあふれるわが家。
三女は「そんなに好きじゃない」と家族にお裾分けしてくれた。

今日はクラス中がチョコであふれていたそうな。
そして三女曰く。
「でも、私のが一番目立ってたかな」

彼女は昨日、部活がなかったせいもあって、3時頃から夜までずーーーーーっと台所を占拠して生チョコボールとチョコ入りクッキーをつくっていた。

数日前にはリハーサルで試作品をつくり、バッチリだったはずが、なぜか上手くいかない。
チョコで精密な字や絵を描いた後、ちょっと固めてからクッキー生地を上から流すのだが、
・チョコが固まっていないと流れてしまう
・クッキー生地が堅すぎるとチョコが割れてしまう
・温度を高くして生地を柔らかくするとチョコが溶けてしまう
などなどで、絶妙なバランスが必要だとのこと。

それがリハーサルではたまたま一発で上手くいってしまっていたのだ。

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結局、昨日はクッキー生地を5回つくり直したらしい(笑)
なんという執念。


今朝、8時に起きたら食卓の上に、その労作の1つがぽろり。

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何も言わずに置いていった、三女でした。

2012年02月12日

Junio Design 橋本潤の「白レンガの壁棚Ⅰ(仮)」案

わが家には1ヶ所だけ、白いレンガタイル張りの壁がある。

玄関の裏側、リビングに面した、白いレンガを積み上げたような、綺麗な壁だ。
今は、真ん中に絵と電子ピアノ、両脇にCD棚が置かれ、でも左側のCD棚は55型TVの後ろで機能しない状態である。

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これをなんとかしたい。
折角CDを持っているのだから、これをきちんと開架したい。
そう思って、いろいろな方法を考えていた。

単純にCDケースをプラスティックケースからシート上にして厚みを減らすことでもそれは実現できる。
厚みが各々1/3になれば、右の棚だけでもCDがすべて収まるからだ。

でもそれだけじゃあつまらないなあと思っていた矢先、Junio Design(フーニオ デザイン)の橋本潤さんを知った。

個人宅向けの家具デザインもされていると言うことだったので、1月の4日に拙宅でお話しした。
そこでは直線的な、もしくは薄い板を空中に保持するような、そんなイメージの話をお互いにしていたと思う。

「では3月のお花見までに完成ということで、2月初にはデザイン案をいくつかお持ちしますね」

予定からは少し遅れて、今日、デザイン案が示された。
「持ってきたのは1案だけです」

そこには、いくつもの白い直方体の箱を、壁にランダムに配置した、まことに楽しいデザインのCD棚が・・・
いやこれは、CD棚ではない。この箱が、本やモノを置く台となり、壁全体を厚みのある棚に変えようという提案だった。

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う~ん、参った。

命名「白レンガの壁棚Ⅰ(仮)」


持ってきていただいた箱の模型を、壁に当てながら、箱の位置や大きさ、つくり方などを相談した。

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あ~、楽しかった。

後は、製作工場に見積もり用の設計書を渡して見積もりを取り、それをベースに契約・製作・施工と続く。
ただ、箱は白だが、背板のイロをどうするとか、いや背板は付けずにレンガを見せるか、とか、細かいデザインでの考慮内容はまだまだいっぱいある。楽しい、1月半となりそうだ。

トイレにCD、雑誌棚をつくったのは、ちょうど2年前。(こちら
あのときも、楽しかったがデザインは自分で考えたものだったから、今回の提案はまた格別。

ちなみに橋本潤さんは、このアイデアをひねり出すのに呻吟艱苦し、最後は「寝ているときに」(ベッドの上でと言う意味か?)ひらめいたそうな。
ありがとうございます~。

打ち合わせ後、子育て談義で30分以上、お引き留めしてしまった(笑)

2012年02月09日

長女の勘違い「saleの意味!」、三女の叫び「作るだけ!?」

日テレのZIP!には「小林ディクショナリー」という小コーナーがあります。

女優の小林聡美さんが、コントで英単語の辛口な意味をこじつけるもの。

その日はこれでした。それを長女と次女が見ていたそうです。

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次の瞬間、長女が次女の方を見て言いました。
「知ってた!?saleに自暴自棄っていう意味があるんだって!」

長女を哀しげな目で見つめる次女。
彼女は、お姉ちゃんが目を見開いて自分の方を向いた瞬間、悟っていたそうです。「ああ、こいつ、勘違いしてるな」と。

ほどなく、長女も気がつきました。小林ディクショナリー自体がただのjokeだということに。
彼女は弁明します。
「テレビを見てないと哀しいな」
確かに彼女の家にはテレビがありません。(正確には、あるが地デジ対応していない)

でも、すかさず次女が詰めます「そこじゃないでしょ」
確かに、常識に囚われない柔軟性は、素晴らしい。でもね、気がつきなさいよ、それくらい、と冷たく視線を投げる次女でありました。


同じく日テレのnews every.で、豆乳特集をやっていました。
豆乳ショップMr Beanには、朝から女性が集います。

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「朝7時から」とアナウンサーが言った後、三女が叫びました。「お店の時計が8時45分だった!」
鋭いね・・・。スタッフが早起きできなかったんだね。もしくは早すぎてお客さん居なかったんだね。

次はおからを使ったドーナツで有名な、はらドーナッツ(二子玉川店は閉店しちゃったけど)の姉妹店、はらロールです。もちろん豆乳入りです。

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大人気で1日1000本作ることもある、とアナウンサーがレポートします。
ほ~っと感嘆の声を上げた後、三女が叫びました。「作るだけ!?」

いや、売るでしょ、ちゃんと。
これは叫んだ後、小さくなって影に隠れた三女でした。


今日も平和なわが家の3姉妹の巻。ちゃんちゃん。

2012年02月08日

大田区職員研修 保育・児童館関係者向け2012

昨年度から、大田区で「教育関係職員向け研修」をやっている。
丸一日、正味7時間の研修だ。

大田区役所において教育関係者とは、主に保育士さんと児童館職員さんである。
区立保育園、児童館が各々、70以上あるので、その数は膨大である。

その方々向けに、決める力、伝える力、発想力の研修を行っている。
昨年やったペットボトル演習を削って、その替わりに「伝える演習」を加えた。

参加者は昨年と同じく30名強。保育士さんが中心だ。
彼女・彼らはとてもノリが良い。
子どもたちと日々接しているせいか、感情表現が豊かだし、言葉も出てくる。

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今回は研修の真ん中で質問コーナーを作った。
ただ「手を挙げて」では出てこないので「各チームで質問を1つ考えること」とした。
こうすると、必ず出てくる。集団心理の妙である。

・そのプレゼンテーションソフトは何か?(keynoteです)
・ご自身の子育てではこれらをどう活かしているのか?(最後に放牧的共育法として話します~)
・こういう題材はどうやって見つけてくるのか?(本と現場です!)
・今は理解したつもりでも復習をしないとダメだと思う。どうすれば?(本を読んでください!是非!)
・職場で勉強会をやってるのだが、そこの講師に呼べるのか?(もちろんです!)

とても良い質問がいっぱい、でした(笑) そして最後、こんな質問が。

・自分で考えろって言われるかもしれないんですけれど、これらを職場でどう活かせば良いでしょうか?

少し考えて、こう答えました。
私が保育士さん向けの研修をやろうと思い立ったのは、実は数年前の中央区での教員研修の場ででした。
小中学校の教員対象と思っていたら、保育士さんたちも参加されていて。
私のコンテンツはおわかりの通り、保育園児向けではありません。なのに、その方々からとても高い評価をいただいたのです。ここでの学びを職場で活かします!」と。
なのでやはり答えは「自分で考えてください」になると思います。みなさんこそが現場です。是非是非、よい活用法を考えて、そして私に教えてくださいね。
みなさん、期待しています!


今回の研修での1番の驚きは、「ほめる力演習」でのみなさんのノリ。
「気持ちがポジティブになった。すごくうれしい」との感想も。

2番目の驚きは、研修最初に「土曜に大人学研修で、高2の女子が参加していて、感想を聞いたら『親が出るべきと思いました』と答えていたんですよ~」と振ったら、休憩時間に女性が「その親でございます」と来られたこと。こいつはびっくり!


雪の舞う中、バイクで大森まで行ってきました。さむかったー。

2012年02月04日

大田区教育講座「子どもの発想力と決める力がアップする 究極の大人(親)学」

みんな必死でサバイバル中です(笑)
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2月4日の大田区教育講座「子どもの発想力と決める力がアップする 究極の大人(親)学」でした。

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2時間半あったので、決める力、発想力、生きる力、とフルコースにしましたが、決める力が盛り上がった(みんな時間オーバーしまくったとも言う)せいもあって、発想力はさわりだけ。
ああ、ハサミも紙コップも用意してもらったのになあ~

そして、参加者が真剣だったので、最後に20分オーバーして「生きる力=親学」をどーんと語りました。


ところで今回の参加者は、平均40歳の女性中心の30名。
年令は69歳から、なんと最年少は17歳。

終了後に、彼女と話しました。もちろん「親」ではなく、普通の高校生でした。

どうして来たの?→「親に、お前には(決める力、発想力が)必要だろう、と勧められました」

どうだった?→「う~ん。親が来るべきだったと思いました。私はこういう風には育てられてません!お小遣いも携帯電話も・・・」「どうすれば良いですかね?」

彼女には「親に『お手伝い至上主義でいこう!』を読ませる」「ただ自分の人生には自分しか責任とれないから自分で頑張るしかないねぇ」と伝えました。
今、気がついて良かったね。がんばろー

他にも多くの熱心な参加者がいらしてました。終了後も互いに何十分も話されていたり。
その中で、事務局としては少ないながら来ていた男性陣に「なぜ参加したのか?」を取材していましたね。やはりこういうイベントに来ることは少ないそうなので。

また、こういう機会が出来ると良いですね。


ちなみに17歳の彼女は、アンケートの「今後、子育てや大人の学びに関する講演会や学習会等があったら参加したいと思いますか?」に「参加したい」と答えてましたよ。
Good!

2012年01月29日

ダイニング床上の異界

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ヒトです。日本人です。

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寝てません。起きてます。

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風邪ひいてません。風邪予防です。

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勉強中です。受験生です。


がんばれ、次女!
あと、1ヶ月~

2012年01月27日

芦花小6年「科学教室 ルークの冒険 カタチの不思議」やりました~

世田谷区立芦花小学校で、45分授業を3連発、やってきました。
昨年『ルークの冒険』発刊時に始めた6年生向け特別授業。

今年も6年生のみなさんと、理科室でワイワイガヤガヤやりました。
その様子は同校のHPにアップされています。高橋副校長先生、素早い!

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1/27 科学教室1(6年生)


最初のクラスではグラス問題を掘り下げました。自分考え、班で話し合い、発表する、のくり返し。みな、活発に意見が出て盛り上がりました。
が、紙コップ問題の時間が足りなくなってしまいました(-_-)
でも終了後、続きが気になった女子2人が「教えてください!」って突撃してきました。Good!

次のクラスではグラス問題を少なめにして、紙コップ問題をしっかり取り組みました。

最後のクラスではなんと「ミューラーリヤ」に全員が引っかかりました。
マジメなクラス、の弱点が出ましたかね(笑)

みんな、水をコボしちゃったりもしながら、でも、「座って悩まず動いて考える!」を何度もトライ。アンケートが楽しみです。

興味があるヒトは校長室・図書室に『ルークの冒険』があるから、読んでみて!と呼びかけておきましたが、最初のクラスの子たちが早速、借りに来たとか。Very good!


芦花小学校ではこの「科学教室」を、来年度はもう少し、増やしてみたいです。これは渡部校長先生と相談です。
カタチの不思議、コトバの不思議、そして、伝える、ほめる、決める力。ああ、欲張り過ぎですねぇ。

わが家からは環状八号線を北上15分。とっても近いのです。
あ、でも今回は帰りに40分掛かりました。
瀬田交差点付近で、違反切符を切られたので・・・。5年ぶりかなぁ。
車線変更禁止違反。1点。6000円。

あそこは黄色線だったのかぁ。なんで目に入らなかったんだろ(T-T)
これでGold免許への道がまた遠くなりました。

ついでに帰宅直前には右転回に失敗して、タチゴケまで。
もーーーー。


夜にはラーニングテクノロジーラボの勉強会へ。
実践をされているヒトたちの集まり。いつもながら刺激になります。

なんとも盛りだくさんの1日でした。

2012年01月21日

東京事変、放送終了間近。『color bars』

東京事変のファンである。

もちろん椎名林檎さんの歌もスタイルも素晴らしいが、ベースとプロデューサーの亀田誠治さんには著作の帯コメントをお願いしたこともある。

先日初めてライブを見に行った。
東京国際会議場のそれ『Tour 2011 Discovery』は、素晴らしいパフォーマンスだった。
浮雲の『某都民』、感動したなあ。

それがなんと解散すると言うではないか!?
1/11のニュースだった。
同日、最後の新曲アルバムであろう『color bars』を即、予約したのはもちろんである。


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color barといえば、テレビ番組の終了、テレビ放送の終わりを示すもの。そういえばライブでも使われていたなあ・・・。あれが予告だったか。


アルバムがAmazonから届き、ここ数日ずっと聞き込んでいる。
曲調が、バラバラだなあ。なんで5曲なのかなあ、と思っていたら、5人のメンバーが各々作ったというではないか。

1.今夜はから騒ぎ/作詞・作曲:椎名林檎
2.怪ホラーダスト/作詞・作曲:伊澤一葉
3.タイムカプセル/作詞・作曲:亀田誠治
4.sa_i_ta/作詞・作曲:浮雲
5.ほんとのところ/作詞・作曲:刄田綴色

だそうだ。

1はそうかと思っていたが、3はまったく外れた。
はっきり言って名曲である。でもベースゼロのバラードだよ、亀田師匠。まさかと思った。


「もうすこし もうすこし あともうすこし 生きぬく心がほしい

ふるわせる ふるわせる この声に 明日を映してみるよ

手探りでも 孤独きりでも 空を鳴らして今は 走り続けよう」


椎名林檎さんに「あともうすこし 生きぬく心がほしい」と歌われると、どきりとする。
そこまで走って、でももう一つ先へ進もうとする者の「孤独」を、感じる。ふ~。

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最後の「ほんとのところ」は、ナンの曲か、なぜ最後なのか、すべてがナゾな曲である。

出だしはいきなり
「たぬきが死んだら」

参りました。


もともと椎名林檎さんが「一人では辛すぎる」と感じで始まった東京事変。
その集大成であり、一人一人の旅立ちのアルバムなのだろう。

color barは、終わりの印であり、始まりの場所でもある。

『color bars』、必聴の一枚。
亀田誠治さんのブログはこちら

2012年01月20日

心の余裕(ヒマ)をマンガから学ぶ ~寄生獣、よつばと!、ぼのぼの

最近、SFや「マンガを題材に何本かの記事を書きました。
特に『風の谷のナウシカ』を中心にしたDOL記事は、史上最大級のアクセスとなりました。『デビルマン』も絶好調(笑)

ただ、友人からこう言われました。
「マンガとかSFとか、題材は違うけど、そこからの学びは『ヒトは何か』とかばかりで結構堅いねぇ」
確かにその通り。ということで今回はリベンジも兼ねて、柔らかい題材(マンガ)からの柔らかい発想の学び、をいくつか紹介します。
テーマは、心のヒマ、です。


#心にヒマのある生物、人間

マンガ『寄生獣』は岩明均さんによる傑作です。

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主人公 新一とそれと一体化した寄生獣ミギー(右手を代替しているからミギー)。物語は、人類とそれに寄生し捕食する生物 寄生獣の間の戦いと共生をつづったものです。彼らは元来、極めて合理的で、いわゆる社会性や人間的感情も持ってはいません。
でも何体かの寄生獣たちは「人間」に興味を持ちました。ミギーもそのひとつでした。

様々な戦いが終わり、最後のシーン(第10巻)でミギーが静かに問いかけます。
「ある日 道で・・・」
「道で出会って 知り合いになった生き物が」
「ふと見ると 死んでいた」
「そんな時 なんで悲しくなるんだろう」

「そりゃ人間がそれだけ ヒマな動物だからさ」
「だがな それこそが 人間の最大の取り柄なんだ」
「心に余裕(ヒマ)のある生物」
「なんと すばらしい!!」

新石器時代以降、人間の生活時間配分は劇的に変わりました。特に近代においては一般大衆にまで広く「ヒマな時間」が行き渡りました
食べることに追われなくて済む生活、命の危険を感じ続けなくて良い生活を、あらゆる地球上生物の中で初めて、大量に手に入れた のです。
それこそが人間の特異性を支えています。この限りない(身を滅ぼすほどの)探究心、好奇心、そして慈悲の心。人が人であることの意味を最大限、活かすためには、心に余裕(ヒマ)を持つことが、必須なのです。
個々人が、どうもっと時間的余裕を作るかは『特別講 コンサルタントの整理術』をお読みいただくものとして、ここではマンガによる「精神的余裕の作り方」を、述べましょう。

あなたはどうやって、自分の精神的余裕度の有無をチェックしていますか? そしてどうやって、精神的余裕を作っていますか。


#『よつばと!』。小さな純粋さが心の殻を破る

まずは、心の硬さチェックです。純粋で面白いものを見て笑えないようでは、相当重症、余裕度ゼロです。
純粋といえば「子ども」か「動物」。ということで、心の余裕チェックの素材としては佐々木倫子(のりこ)さんや、あずまきよひこさんのものが最適でしょう。
あずまきよひこ氏の『よつばと!』は全くの日常がテーマです。大した事件も起きず『サザエさん』級の平和さです。日本の政治や世界の経済がこんな危機的状態の時に、こんなに平和な本を読んでて良いのか、と思うくらい。
主人公は最近田舎(海外のどこか)から、町に越してきた、よつば、です。推定5才 。

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「お父さん」曰く「外国に行ったとき拾ってきて、なぜか育てることになった」女の子です。このとてつもなく無邪気で純粋な子どもが、隣家の3姉妹を巻き込んで引き起こす、小さな出来事たちがユーモアたっぷりに綴られていきます。
打上花火を生まれて初めて見たよつばは、叫びます。
「おっきーなー」「はなや意味ねーなー」
隣で焦る、花屋のあんちゃん(笑)

よつば に複雑さは通用しません。楽しいものは楽しいし、コワいものはコワい。特に鳥除けの大きな目玉の風船は大嫌い。でもにわか雨は大好き。雷が鳴れば長靴を履いて傘なしで外に飛び出します。
彼女は「無敵だ」(お父さん 談)なのです。


#よつばは、何を言いたいのでしょう

コミック最新巻である11巻からの問題です。
ある日、よつばは友だちの家に行く途中、遠回りして手打ちのうどん屋さんを見つけます。外から手打ちの様子をじっと見つめるよつば。いつの間にか店内に入り込んで、厨房の店主(おじいさん)の横に出現です。
邪魔しなければ見ていていいよ、と言われよつばは店主の脇で興味津々。そして2人の会話(?)が始まります。よつばの問いに、店主は淡々と答えるのですが、さて各々、よつばは、本当は何が言いたかったのでしょうか?

1. 店主が生地を麺棒に巻き付けて、伸ばそうとしている
よつば「それはなに?」店主「・・・これはうどん」よつば「違うよ?」店主「・・・違わん」

2. よつばが見つめる中、モクモクと生地を伸ばす店主
よつば「なんでうどんにしたの?」店主「なんで?なんでって・・・」「・・・・・・」「うどんが好きだから・・・?」よつば「ふんふん」

3. なお生地を伸ばす店主
よつば「じいちゃんはうどんとおそばとどっちがすき-?」店主「・・・うどんかな・・・」よつば「ふんふん」「よつば、ラーメンすき」店主「そうか・・・」

さて、どうでしょうか? うどん職人に「それはうどんじゃない!」と言うよつば。本気です。そんな、棒に巻き付けられた薄い座布団みたいなうどんなんて、見たことないものねえ。
うどん職人に、なぜうどんを選んだのかと突っ込むよつば。これは無邪気な、しかし鋭い質問です。答えに窮する店主。で答えが「うどんが好きだから」という単純さは素晴らしい。もうすっかりよつばのペースにはまってます
そしてそう言っているのになおうどん職人に「うどんとそばとどっちが好きか」と問うよつば。これは単に「自分はラーメンが好き」と言いたいだけの質問でした(笑)

そうそう子どもって自分が言いたいことがあると、それを言いたいがための問いかけをします。うちの長女の幼少期の必殺技がそうでした。
長女歌う「どの花見ても、えのぐみれ~」母、続きを待つ。しばしの沈黙。
長女「ねえねえ、『続きは?』って聞いてぇ」母「・・・続きは?」
長女「もう無いの-」
少ないボキャブラリーを最大限に活かして「会話」するための技を彼女は開発したのでした。これを、面倒・・・、と思いますか? 面白い、と思いますか?

子どもたちの無邪気な行動や言葉で、自分の精神的余裕度の有無をチェックしましょう。もし余裕を失っていたら、次はそれを作るための方法です。


#4コマで時間がゆっくりになる『ぼのぼの』

空白にこそ余韻や空想があります。いがらしみきおさんの『ぼのぼの』はそういう空白にあふれています。でも紙面をいっぱいに使っての空白ではありません。基本はすべて、4(もしくは8)コママンガなのですから。

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主人公はラッコの子ども、ぼのぼの。アライグマくん、シマリスくんといった動物たちが森の中で色々なことに遭遇し、探究し、少しずつ(たぶん)成長していく物語です。
周りを取り巻く大人(の動物)たちは、妙に哲学的だったりします。スナドリネコ、ヒグマの大将、カシラ(ひぐま)、長老さま(シャチ)、みなそれぞれの哲学をもっています。

長老さまが、ぼのぼのに言います 。
「それはの このトシまで生きると よ~くわかる んじゃが・・・」
「生き物が 悩まなきゃ いけないこと など」
「この世にゃ ないような 気がするん じゃよ」
「ほっほっほ~ 今のは ないしょじゃぞ」
「言うと みんな おこるから の・・・」

しかし、もっとも味わうべきはこのマンガに満ちる「間(ま)」です。4コマを、ただの起承転結に使わず、その狭い狭い画面を一杯に使っています。
文章で表現することは甚だ難しいのですが・・・たとえばある4コマはこんな風です 。

1.右下に岩場。ぼのぼのがすっくと立っている。残りは全て海。ぼのぼのは、潜水中のおとうさんを探している。
2.同じ構図。画面左上に「↓」と「この辺に出てくると思っている」のコメント
3.同じ構図。「↓」のみ。コメント無し
4.同じ構図。「↓」から少しずれたところに、おとうさん(1㎜角)が現れる。ぼのぼののところには「あぁっ おしいっ」の太字コメント。

bonobono2.jpg(こんな感じです・・・)


ほんの少しの動きとセリフ・コメントで一コマ一コマが進んでいきます。よーく見ないと見落としそうな感じで。

これは、ゆっくりとした想いや時間の流れを表現するのに良い方法です。いや、と言うよりは、読者の「時間」を遅くするための手法、ではないでしょうか。焦って読み進んでも、この面白さは味わえません。
なんの蘊蓄も哲学もないこのコマ進みに、楽しさを感じうるかどうか。それが余裕(ヒマ)修行の2段階目なのです。
修行なので後は、繰り返し、進んでいくだけ。繰り返さなければ身に付いた「技」になりません。時間の余裕と心の余裕(ヒマ)をもって、ヒトとしての進化を遂げましょう!
あ、いやいや、今回は「ヒトの進化」なんて言いません。柔らかいマンガで、柔らかい心を養いましょう。それだけで、十分です。