2014年04月30日

韓国のテレビ Money Todayに出演…

先日Seoulで収録されたTV番組ですが、無事放映されたらしく、その内容がそのままYouTubeにアップされました。私の英語レベルがわかります orz

ただ、26分頃からが一番良いコト言っている、と思います(笑)


YouTube ↓
https://www.youtube.com/watch?v=KLjoBO0_dr8&feature=youtu.be

途中から、どんどん手持ちの台本とアンカーマンの質問がズレてきて、発言者3人は冷や汗をかきながらやっていました。
収録が1時間弱で、番組が40分ですからほとんどそのままですねえ~。

ちなみにTV局のサイトにはインタビューの全文があり、それを翻訳すると各人が何を言っているかすぐわかります。
これ↓
http://news.mtn.co.kr/v/2014043016470656745

2014年04月23日

K.E.Y. Platform 2014 @Seoul で全体レクチャー講演!

昨年から始まった、韓国の大メディアグループ MoneyToday主催のK.E.Y. Platform
今年のテーマは「Business Model Disruption」なのですが、その初日午前の全体セッション(Plenary Session)で30分間のレクチャー講演を行いました。


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韓国のエグゼクティブたち1000名が見つめる中、英語でのプレゼンテーションだったので、緊張はしましたが、その分 準備は万端。用意した原稿をきっちり、しっかり読みました(笑)

30分のプレゼンテーションのために、
・いつものプレゼンテーション資料を組み合わせ、
・自分で英語に訳し(これだけで10時間以上かかった)
・アメリカ人の友人(芸術家で、同時にプロの英語指導者でもある)にその修正を業務委託し
・彼と自宅で夕食をともにしながら表現を練り直し
・英語での読み上げの練習を重ね
・最後にフェリー事故への気持ちを述べるための文章を添えること西にし、
・それを韓国語で読み上げるために、カタカナ翻訳wを日韓バイリンガルの友人に頼み
・その読み方を義妹と韓国での通訳さんに確認し練習

でも、英語は憶えきれなかったので(ゆっくりならできるが、それでは30分に収まらないし、スピード感がない)、読むことに決め、それで乗り切りました。

午前中4時間半の全体会議は、テレビで生放送もされたらしいのですが、一番の拍手をいただけたと思います。(なにせ、準備時間が違う(笑))

さて、この他にも、主催のMoneyToday側が用意したものが2つ。
テレビ局によるインタビューと、MoneyTodayによるインタビュー。

前者は、直前に台本を渡され、質問項目が5つほど。何かと思えば実は「テレビの収録」でした。びっくり!

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ドイツ人エグゼクティブ、HBS出身の若手韓国人、と私に司会者。
みんな英語上手だし、質問は途中で原稿と変わるし、もう、1時間余り、必死でした (T-T)

でも、「韓国ビジネスへのメッセージは?」と尋ねられて、
「韓国は世界から学んできた。日本の成功と失敗にも」
「なのにいま、同じ穴に落ちている気がする」「それはover-learning」
「知識に縛られるとそもそも考えないし、ジャンプもない」
「日本も韓国も子どもたちに対して知識を叩き込む教育が中心」
「子どもには『ヒマと貧乏』を!」
と答えて「ビジネスネタ→教育ネタ」への転換を図るくらいの余裕はありました(笑)

しかもこの話題に、若手か飛びついて米韓比較をしてくれたり、ドイツ人エグゼクティブが反論したりで、番組そのものが盛り上がったので、よかったです。
だって、司会者が振って皆が話すだけなんて、つまんないですもんねえ。

22日の昼に入って、23日の午前がカンフェレンス。
午後だけ時間があったので、通訳の方に案内してもらって、ソウル市内をお散歩しました。
で、宮殿跡もよかったけれど、曹渓寺(チョゲサ)が素晴らしかった!
韓国仏教の最大宗派の総本山ということで、いまは灌仏会(お釈迦様の誕生日祝い)の真っ最中。
蓮の葉に見立てた提灯が、境内を埋め尽くしていました。

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お布施をして札に名前とかを書くと、風鈴のようにそれを提灯に下げてもらえます。
色つきの部分はすべてもう「売切れ」状態でした。

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垂木の多さ、華やかさも秀逸。


古宮でとにかく楽しかったのは、その守護神?たち。

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みんな顔が違う。表情が面白い。

対称性の中に潜む非対称。
厳格の中に潜む諧謔。

いいなあ。

もちろん市内はほとんどのエンターテインメントイベントが中止になり、観光地も空いている感じでした。韓国の皆さんの自粛ムードのためかもしれませんが、相対的に中国からの観光客が非常に多く、古宮などでは半分以上がそうでした。

さて、2日ちょっとのソウルへの旅。
韓国食が苦手な私としては、d( ̄  ̄)なものとなりました(笑)

2014年04月19日

4月の研修・講演:NRI、MUFG、K.E.Y.@Seoul

4月23.24日、ソウルで「K.E.Y. PLATFORM 2014」というイベントが開かれます。
Money Today Media社が主催するビジネスカンフェレンスで、韓国中のエグゼクティブが集うもの。
講師陣はもちろんHBSはじめ、世界中から招聘されています。

で、なぜかそれに出ることに orz

初日の全体セッション途中で登場し、30分間の基調講演を行って、さようなら、という役回りです。
(たぶん……)
なんでそんなことになってしまったかというと、理由は簡単で、会議のコーディネーター氏が『経営戦略全史』韓国語版を読み、いたくお気に召したからです。「3回読みました!これだって」と彼は言っていました。

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この著者を招聘しよう!という、ということになり私に声がかかったわけですが、それでも普通なら受けません。韓国企業や政府のエグゼクティブと交流ができる、と言われてもピンと来ませんし、これ以上「経営戦略の専門家」になっても仕方ないからです。

ところが、このカンフェレンスの主催者であるMoney Today Mediaこそが、ディスカヴァー21を通じてこの本を出版してくれたところでした。
「将来の本の販促にもつながるから」とディスカヴァー側に言われちゃあ、断れません。お引き受けしました。

30分(当初は25分だったが交渉で5分延長)のプレゼンテーションも、最初は日本語でOKと言われましたが、考えてみれば、壇上のスピーカーたちは英語圏の人が多く、聴衆もおそらく半分以上英語がわかるわけで、日本語→韓国語、英語の通訳の手間や、ニュアンスの歪曲を考えると、英語でやる方がいいに決まっています。

なので「英語でやる」と言ってしまいました。
こうなったら、準備は真剣です。久しぶりに話すことを全部書き下しました。
ただし、英語でやったので、30分の話し言葉を英訳するのに10時間以上かかりました。
そしてそれをアメリカ人の友人にチェックしてもらい、そこからいまは、流ちょうかつ情感込めて、読む練習中。

暗記しようなんて思っていません。破綻するだけです。
ジョブズの卒業式スピーチのように、しっかり読んでこようと思います。


4月は他に、
・NRIの新任主任研修@NRI 横浜ラーニングセンター

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テーマは発想力で80分。まあまあのウケだったかなあ。

・MUFG行員 自己啓発研修@オランダヒルズ

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という感じです。最初は静かでしたが、徐々に盛り上がっていきました。
同日のアンケートによると満足度平均は五段階評価で「4.5」。

あとは、

・4/30 1045~1235 田園調布雙葉高校での「決める力」授業

・5/10 1440~1600 順天中高PTA研修会での講演

・5/12 終日           岡山 金光中高校で中学生、PTA、高校生向けの授業・講演
・5/15 1600~1730 Goldman Sachsでの「生きる力」講演

と続きます。
ふ~~~~~。

執筆は7月の『ビジネスモデル全史』発刊に向けて、いやいよ制作のプロジェクトチームが始動しました。
ほんとうに楽しみです。

2014年04月08日

2014年4~6月の講演予定

4月になり、KIT虎ノ門大学院でも講義が始まりました。
まずは『戦略思考要論』。これは入学式直後の午後6時間講義と、平日2回の3時間講義で1単位終了というクラッシュ・コース。
明日がもう最終回ですが、みな、必死で食い付いて…いるはず。

今のところ決まっている、4~6月の子ども・親・教員向け研修は、こんな感じです。

4/30(水) 1045~1235 田園調布雙葉高校3年 「決める力」
5/12(月) 終日、金光学園 中・高・親向け
5/15(水)1600~1730 ゴールドマン・サックス 「子育て」
6/5(木)1000~1200 小平市中央公民館 家庭教育講座「お手伝い」

小平市の講座は、全10回の5回目のみ担当ですが、定員20名で保育付きという、超絶お得な親向け講座です。小平市にお住まい、もしくは勤務の方、是非どうぞ。申込期限は4/23です。


そして、下記は企業向け。ほとんどがリピートですね。

4/14(月)1600~1730 NRI 主任昇格時研修「発想力」
4/19(土)9:00~13:00 MUFGエクステンションカレッジ@東京「決める力と伝える力・ほめる力」
5/21(水) 1345~1700 AMG主任初任者A
6/6(金)1330~1630 AMG 看護管理士1stレベル①
6/11(水) 1345~1700 AMG主任初任者B
6/26(木) 午後 東京都主税局 新任ライン係長研修

AMGとは上尾中央医科グループのことで、日本最大級の医療グループです。
職員数は1万5千人。その(医師を除く)主任昇格者向けの研修が、主任初任者A.Bです。
150~200人が対象となるのですが、春2回、冬1回のどこかに参加することに。
事業や勤務地、職種を超えたコミュニケーションの場となってもいます。

看護管理士 1stレベルは、AMGキャリアサポートセンターが主催する公的研修(多くは看護協会がやっている)で、全体では百数十時間に及ぶものなのですが、半日、2回のコマをいただいています。
これはベテラン看護師さんが、関東中から(たまには九州から、という方も・・・)集まって、なかなか壮観かつ活発で楽しい研修です。

さて、新年度も胸を張って、空を見上げて!

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2014年03月31日

3/29.30 お花見パーティ2014

2日間で160人以上の大人、子ども、赤ちゃんたちが、わが家に集いました。


連続2日、1200~2400の開催で、いつ来ていつ帰っても良く、誰を連れてきてもOK。ただし飲み物食べ物持参で。いうイベントなわけですが、今回は、
・2日連続の参加者が5名?
・1日滞在時間11時間超が2名
という記録も生まれました(笑)

初日3/29は好天に恵まれ、2日目3/30は荒天に見舞われ、でしたが、それでも2日目も途中 晴れて、屋上で夕暮れ風景を楽しむことも出来ました。

初日の玄関は、こんな感じ。

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そして、1階。こっちがリビングで、

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こっちがダイニング。

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2階の和室です。

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3階の子ども部屋。

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屋上も!

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みんな、楽しそうですねえ~。
仕事の話をする者あり、恋愛相談する者あり、真剣に雑談する者あり、ゲームに興ずる者あり。

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8年ぶり、9年ぶりという懐かしい顔もいて、楽しい計24時間でした。

そして、2日間のベストショットは、これ!

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ハンモックでまどろむ母子、です。
(これが正しい使い方)

2日目の深夜、最後に残ったのは、長女や次女、三女の友だち(男子3、女子2)と長女・三女でした。
男子3名はご近所サン。高校生の女子2名はお泊まり組です。

最後の大人のお客さんが帰られたあと、彼らがささっとあと片付けをしてくれました。
各フロアは、お客さん(というよりパーティ参加者)が、これも自発的にほとんど綺麗にしてくれていましたが、それでも多少のゴミ片付けと、モップかけ、食器洗い、ソファーの整頓などなど。

私は誰にも何にも言ってないんですけどね。

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ん? 働いているのは、20~22歳の男子3人だけだぞ(笑)

こんな感じの 三谷家お花見パーティ2014でした。
みなさん、また来年もお会いしましょう!

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2014年03月23日

『ビジネスモデル全史(仮)』本の原稿、ほぼ完成。ここまでの経緯

昨年秋、ダイヤモンドHBRから依頼を受け、「ビジネスモデル全史」という論文を書くことになりました。


実は私は「ビジネスモデル」という言葉がキライでした。
みんな、あまりにテキトーに使うからです。

大学院のクラスで禁止用語にしている「KSF(成功要因)」くらいキライです。
大した意味もないのに「カタカナ」なので、それらしくなってヒトの思考を停止させてしまう、と感じていました。

なのに、『経営戦略全史』を書いて以来、「『○○全史』書けませんか?」というご依頼の多いこと…。
「マーケティング戦略全史」「人事戦略全史」も断ったのに、ましてや「ビジネスモデル全史」なんて!

といっても気が弱いので、メールでNoとお断りも出来ず、DHBR新編集長 岩佐さんとお会いしました。
そして、なぜか引き受けることに orz

しばらく勉強してみたら、「ビジネスモデル」という奴が、それほどダメな奴ではないことがわかってきました。
ゾットやアミットという学者さんたちが、しっかりした研究を行っていること。
ビジネスモデル論の歴史は短いが、ビジネスモデル革新の歴史はずっとずっと長いこと。
クリス・アンダーソンの『ロングテール』『フリー』『MAKERS』のすべてがそうであること。

少し楽しくなってきて、どんどん勉強を続け、しばらくして書き始めました。
まずは、国際的な為替・決済システムの構築に寄与した「メディチ家」のお話からです。

書いていたら、いつの間に依頼を受けていた「7000~9000文字」を越しそうになっていました。
まあ、余った分は、別のときに使えばいいや、と書き続けました。
最終的にできた原稿はなんと1万8000文字。前半は「メディチ家からスクエア革命まで」の、テーマに沿った実例集で、後半がビジネモデル論の歴史です。

一旦そのままDHBR編集部に渡して、判断を仰ぐことにしました。
1. そのまま使う
2. ちょっと削る
3. だいぶ削る
のどれにするか、と。ただ、3の場合には前半後半を半分ずつにするのは難しいので、前半か後半だけにしようと。

結局、岩佐さんの英断で、2でいくことになりました。全体ベージ数の問題もあったでしょうに、ありがとうございました。
後半内の事例を削って、1万5000文字にしました。

その後、校正を続けて素敵なデザインもしてもらい、3/10、DHBR 2014年4月号として世に問われることになりました。
『ビジネスモデル全史』。特集の巻頭論文です。

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実はこの論文の原稿は、昨年12月には大体書き上がっていました。
執筆の途中、DHBR側の都合で〆切りが1ヶ月繰り下がっていたのです。

でも、勉強したものは早くはき出さないとマズイので、一気に書いてしまいました。
ただ12月末に入稿されても編集部としては困ります。目の前に2月号や3月号があるのに、4月号の原稿なんて見てられません。

なので私は原稿を出した後、しばらくヒマになってしまいました。
ところが頭はまだ「ビジネスモデル」で動いていたので、その勢いをディスカヴァーにぶつけることにしました。

「ビジネスモデル全史、って興味ありますか?」

DHBR論文(まだ出ていないが)の書籍化企画は、ディスカヴァー社内ですぐ承認され、本の執筆が動き始めました。
問題は分量でした。
担当者でもあるディスカヴァーの干場さん、原さんとの打ち合わせでは、私が「(頑張って)200頁くらいにはします」と言い、干場さんが「300頁くらいかな~」と言っていました。
私の作戦としては、2万文字弱ある元原稿に、事例を中心に書き足して、8万文字くらいにするつもりでした。それで、200頁強。
干場さんは『経営戦略全史』を手にとりながら、ボリューム感を確かめながらの言葉でした。

結局、書き上げてみたら、また400頁超となりました。
8割方は筆の赴くままに、楽しく書き続けた結果です。
あと2割くらいは「これも書かなきゃマズイでしょ」の結果です。

たぶん後者をもっとマジメにやっていたら、このさらに倍以上になったでしょう。
それくらい「ビジネスモデルの全史を書く」というテーマは無謀に近いチャレンジでした。
でもまあそこはそこ。『経営戦略全史』のときと同じく、自己責任で「これ!」と選んでいきました。

きっと「なんでこれは入ってないの?ありえない」というお叱りを、今回もきっといっぱい受けるでしょう。
でも、「じゃあ、次のときに」とか「ではみなさんが」と思うことにしています。(事実誤認は別にして)
どこかで見切らねば仕方がないし、みんなに100点のアウトプットはないからです。

そして、

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これが今回の原稿(初稿)の全体像です。丸3ヶ月はかかりましたかねえ。
最期の数日で、150枚余りの図版を書きました。簡単なものから、複雑なものまでいろいろですが、3連休の30時間を投入して、なんとか。

序章と第1章は、DHBR論文とほぼ同じです。
でも、第2章から第6章はほぼオリジナル。書き下ろしの「ビジネスモデルの歴史」です。

まだちゃんと数えていませんが、60以上の企業の栄枯盛衰が語られていきます。
知っている企業、知らない企業。
ほんとうはそうだったんだ、という企業。
それらを立ち上げ、変えていったリーダーたち!

出版時期はまだ未定ですが、ディスカヴァーも準備万端(のはず)。
早くみなさんの手に届きますように。

みなさんの感想が聞けるのが、いまからとても、楽しみです。

2014年03月11日

ダイヤモンドHBR 2014年4月号『ビジネスモデル全史』

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『ビジネスモデル全史』というこの論文名には、2つの意味が隠れています。

ひとつ目は「ビジネスモデル」の「ビジネス用語・経営戦略用語」としての歴史です。

このちょっと野暮(やぼ)でものすごく曖昧(あいまい)なビジネス用語は、これまで数奇(すうき)な運命を辿(たど)ってきました。無視されたり、ほめられたり、貶(けな)されたり、そして、尊敬されたり。3期に分けられるそのビジネス用語としての歴史を、まずはざっと見てみましょう。

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1期は、はるか昔から1990年頃までです。
ビジネスモデルというコンセプトや言葉は存在していたものの、大して見向きもされず、ときどき使われるくらいの言葉でした。本当はそれによって多くのイノベーション(革新)が生まれていたというのに。

しかし2期、1991年頃から2000年まででいきなりの絶頂を迎えます。「ネットビジネス の説明」用として。
1990年代中盤、インターネットの急激な普及によってネットビジネスが勃興(ぼっこう)します。1994年にはブラウザーのモザイク が発明・公開され、アマゾン、ヤフーが創業します。98年にはそういった仕組み自体が特許化(Pricelineの逆オークション方式)もされ、あらゆる起業家や投資家、経営者やメディアがその言葉を使い、学者たちも追随しました。
だからこそ2001年のドットコム・バブル崩壊で、「ビジネスモデル」という言葉は陳腐化し、消えて無くなるはずでした。他の経営流行語 のように。

でも、「ビジネスモデル」は見事に復活を遂げました。2つの新しい使い途が分かったからです。
1つは「競争優位の持続性」への解答として、もう1つは「イノベーションの起こし方」への解答として。いずれも21世紀の経営戦略論が抱える最大テーマであり、「ビジネスモデル」は2002年以降、3期として2度目の絶頂を迎えています。

『ビジネスモデル全史』という名前のもうひとつの意味は、(私の定義でいうところの)ビジネスモデル革新(イノベーション)の歴史です。
歴史上、どんな大きなビジネスモデルが存在し、そしてそれはどこでどうやって生まれてきたのかを、概観したいと思っています。

といっても、15000文字のなかで(もともとは9000文字以内のハズだった(笑))それをカバーするのは不可能なので、「為替・決済システム」の歴史を追うことで、それに替えました。

・メディチ家による国際為替決済システムとバチカン公金の取扱い
・トーマス・クックとアメックスのトラベラーズ・チェックによる個人国際為替
・バンカメのVISAカードがつくった社会インフラ
・インターネットと暗号とeBay。ペイパルのマイクロペイメントが見知らぬ者同士をつなげた
・スクエア革命とはリアル決済の変革。売り手を拡大し、買い手の経験を変える

これらは一企業の戦略に留まらない、大きなビジネスモデルの革新(イノベーション)たちなのです。

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日経朝刊2014.03.10

ぜひ、お読みください。

2014年02月27日

3/4発刊『経営革命大全 新装版』の解説文書きました!

ジャン!

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今日、日経新聞から見本が届きました!
2002年に発刊(原著は1998年)された文庫版『経営革命大全』の新装版です。

写真の左手前が新装版デス。
厚みは24mm、688頁のヘヴィー級。

ご依頼があり、私は新装版にあたっての、解説文を書きました。
P599~605の数頁なのですが、結構大変でした。

この本、数えてみると、40万文字くらいあり、なんと『経営戦略全史』の倍以上…
原稿を「2週間で書いて」と言われて「ムリ」と答えました(笑)
でもなんとか書いて、納めたのですが、その冒頭の一文がオビの文句となりました。

三谷宏治絶賛!「この本を先に読んでいたら、私は『経営戦略全史』を書いていなかったかも」

う~ん、恥ずかしい。
・私が絶賛しているから、ってねえ
・読んでなかったことがバレるじゃない

中身はとてもしっかりしています。
ところどころ著者(ボイエット夫妻)の「OUR VIEW」があって楽しいです。

たとえば、「リーダーシップ」の項。
1 「リーダーに不可欠な特質」をフランクリン・コビーらグル(guru 権威者)にさんざん語らせておいて
2 最後にドラッカーの「共通の特質などない」という意見を紹介し
3 直後のOUR VIEWでは、あっさり「ドラッカーの意見が現実に近い」と言い切っています(笑)


店頭には3/5頃から並ぶそうです。
経営戦略論だけでなく、組織人事論、リーダーシップ論など幅広く「経営」をカバーしてみたい方にお勧めです。

こちらで、どうぞ。

2014年02月25日

2月の講演・研修報告

2月ももうすぐ終わります。
わが家の周りでは、梅が盛りで書斎からも窓越しに、紅梅白梅が楽しめます。

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さて、この2月は大雪の時期でもありましたが、いろいろなイベントごとは滞りなく実施することが出来ました。ざっと報告しておくと…

1. 2/8(土) 900~1300  MUFJ@東京「決める力と伝える力・ほめる力」

・MUFJの自己啓発研修です。この日も雪で、どうなるかと思いましたが、30名が神谷町オランダヒルズに集まりました。

2. 2/10(月)1900~ KIT プレ講座

・初めての試みで「戦略思考要論」のプレ講座をメルマガ読者限定で行いました。無料ですが、驚異の出席率。しかも、その後の飲み会もほぼ全員出席という(笑)

3. 2/11(火)900~1800 ISL「戦略論」

ISLというリーダー教育機関の、戦略型リーダー養成プログラム(SLP)の一コマを担当しました。テーマは「事業戦略論」なのですが、結局丸一日のプログラムとなりました。講義ありケースあり。途中で元INSEADの教授でもある代表の野田さんも乗ってきて、休憩時間中に熱い戦略議論をしてしまいました(笑)

4. 2/12(水) 1930~2030 小平市中央公民館ヤングセミナー「決める力」

・道路に雪の残る中、バイクで小平まで行ってきました。若者向けのよい企画だと思うのですが、定員の半分しか集まらなかったのが残念。津田塾とか一橋とかあるのに、みんな何してるんでしょうねえ。もちろん集まった「若者」たちは、熱心に頑張って取り組んでました。「もっと受けたい!」と言っていた2名、動けるかなあ~。

5. 2/14(金)1030~1230 玉川テラス「子どものコミュ力アップ:脱ワンワードと伝える力・ほめる力」

・これも雪の中、熱いお母さんたちが集まりました。(男性1名) 「脱ワンワード週間」のお話をしっかりしながらも、伝える・ほめる演習をじっくり。これも次の展開が楽しみです。

6. 2/19(水) 1100~1200 北陸産業倶楽部「発想力の共育法」

・北陸電力が東京で主催する北陸産業倶楽部の例会でお話。黒スーツの男性ばかりでしたが(笑)、席を立って円柱を探せ!とか楽しんでもらいました。

7. 2/19〈水〉 1900~2030 UCバークレー同窓会「経営戦略全史」

・お昼と夜の連チャンです。直前にはNRI大手町オフィスで打ち合わせ付き。さて、カリフォルニア大学バークレー校の卒業生を中核とした「知の広場」例会で、2時間たっぷり。本当の戦略論の専門家や、IBMの北城さんの前でお話をするのは緊張しましたが、これも有意義な会となったと思います。

8. 2/22(土)1330~1500 柏崎地区高校PTA「子どもたちの『決める力』『伝える力』『発想力』の鍛え方」

・新潟 柏崎地区の7校合同での講演会です。200名余のPTA関係者が集まりました。7割は女性なので、ほめる演習も盛り上がりました。でも、男性陣も楽しく取り組んでもらったようで、その後の食事会、さらには二次会と、おつき合いすることに(笑)。高校生の親向け、って結構難しいんですけどね~

9. 2/26(水)1830~2030 自由学園 20分「小学生がつけるべき力」

・おっとこれは明日ですね。池袋近くの明日館(みょうにちかん)で行われる、親向けイベントにお邪魔します。もう70名以上の申し込みがあるそうで、楽しみです。

さて3月もいろいろですが
3/7(金)1930~2100 大田区出雲中「放牧型共育のススメ:携帯戦争編」
・3/12(水)AM 世田谷区芦花小6年「発想力」
が面白いかも。

がんばろー。

2014年02月18日

「昔はマナー守った」は幻想 by 大倉幸宏さん

今日の朝日新聞朝刊15面は、「道徳に成績?」をテーマに3氏のオピニオンが掲載されました。


なかでも、「『昔はよかった』というけれど」の著者でもあるコピーライターの大倉幸宏さんのオピニオンが秀逸でした。

・道徳教育の話になると保守系の人たちは、よく「昔はマナーが守られ、モラルも高かった」「しかし戦後を境に低下していった」という図式で語りますね。だけど、それは幻想です。戦前の公衆道徳はひどい水準でした。

・いまの道徳教育に当たるものは明治の初期から授業科目となっています。しかし、知識としては身についても実戦に結びつかない、と教育界で問題になっていました。

・公衆道徳を向上させるうえで、教育の役割は限定的でした。例えば、落書きをなくそうという啓発活動が行われてもなかなか効果は上がりません。むしろ大事なのは、法やインフラの整備でした。

・道徳教育によって若い人たちを導こうなどと、あまり考えるべきではないと思います。せいぜい「こういう場面ではどうしたらいい?」と考えさせるにとどめ、それ以上のことは教育に期待しない方がいい。

・「昔はよかった」という図式で考えると、戦後の努力を否定することになります。理想像を戦前の教育に求めるような短絡を起こす。

特に付け加えることはありません。まさにこの通りでしょう。
たとえば、戦後の数十年、一貫して(究極の反道徳行動である)殺人件数へ減り続けています。増加しているように感じるのは、メディアによる誇張や自分の常識に目が眩んでいるに過ぎません。

「昔はよかった」には何の根拠も、未来への価値もないのです。