2012年06月16日

『リーガル・ハイ』第9話を見たか!堺雅人を聴いたか!

堺雅人、大好きである。
といってもちゃんと見たのは『篤姫』と『塚原卜伝』のみ。
基本、役柄はおとなしめである。

今回の『リーガル・ハイ』は、堺雅人が主人公役と聞いて見始めたのだが、以来、録画して欠かさず見ている。
なんとも堺雅人演じる弁護士 古美門研介(こみかど けんすけ)のエキセントリックなこと。
カネのためにならどんな訴訟も引き受け、無敗神話を誇る。
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淀みなく繰り出される激辛の毒舌は、内容はともかく、聞いているだけで気持ちがいい。

6/12の第9話は「恩讐の村人よ…美しき故郷を取り戻せ!!」前編である。

化学工場を誘致し、過疎から立ち直った南モンブラン市。
しかしそこで老人たちを中心に、公害被害が出始める。
立ち上がる老人たちは古美門を頼るが、けんもほろろに追い返す。

「みじめな老人どもは大嫌いだ!」
「彼らには、戦争とズワイガニ食べ放題付きツアーの区別がまったくついていない!」

途中から手伝い始めた古美門だったが、逆に老人たちは化学工場を所有する大企業社長の「誠意ある」言葉にあっさり矛を収めようとする。

「誠意が見れたらいい」「絆を確認出来た」「見舞金 一人20万円で十分だ」

古美門は激高する。

「この村は昔、蚕を飼い美しく絹をつむぎ、絹美(きぬみ)と呼ばれました」
「それが過疎になり補助金目当てに合併をくり返し、南モンブラン市と名を変え、今や大企業にゴミ屑扱いされています」

「これで土地も水も蘇るんでしょう、病気も治るんでしょう、工場は汚染物質は垂れ流したままだけどきっともう問題は起こらないんでしょう。だって、絆があるからぁ!

「老人だからなんだ。病気がちだからなんだ。いたわって欲しいですか、慰めて欲しいんですか」
「先人たちに申し訳ないとは、子々孫々に恥ずかしいと思わないんですか。何が南モンブランだ、絹美村は本物のモンブランよりも遥かに美しいと、どうして思わないんですか!」

「誰にも責任を取らせず、見たくないものを見ず、みんな仲良しで暮らして行けば楽でしょう。しかしもし、誇りある生き方を取り戻したいのなら、見たくない現実を見なければならない、深い傷を負う覚悟で前に進まなければならない、戦うとはそういうことだ!グチなら墓場で言えばいい!」

「カネがすべてではない? カネなんですよ。あなた方が相手に一矢報い、意気地を見せつける方法は、奪われたものと踏みにじられた尊厳にふさわしい対価を勝ち取ることだけなんだ。それ以外にないんだ!」

堺雅人の口から迸る、圧倒的なセリフたち。

参った。
3回聞いたが、3回涙が出た。

別にストーリーそのものに感動したとかではない。
このセリフの言葉ひとつひとつに、彼の表現力に負けたのだ。

同時に、この第9回のテーマ(くり返し述べられる主題)にも。

「絆や誠意に逃げるな。誇りを取り戻したいなら、傷を負おうと戦え」


次女にその話をしていたら、「お父さんがドラマ見るなんて珍しいね」
確かに。
『坂の上の雲』(足かけ3年、年末のみ数回ずつ)とかを除けば、篤姫以来である。いや篤姫も半分くらいしか見ていなかったが。

ああ、最終回が待ち遠しい。
いや、もったいなくて、すぐには来て欲しくない。
う~っむ。