黒猫よ、眠れ
昨夕、三女が大声を上げながら帰ってきた。
「猫が死んでる!」 「黒猫だよ!」
すぐ外に出ると、玄関には三女の女友だちが数名。
私たちが出てきたのを見て、安心したように散会していった。
家から50メートルほど先、歩道の隅に黒い影。
確かに黒猫だ。真っ黒な、光。 首輪のない猫。
体を三日月に曲げ、眠るように横たわっている。
でも、動かない。
触ってみると、まだほんのり暖かい。
でも、揺すっても起きない。
一旦家に戻り、小さな段ボール箱とタオルを持ってくる。
それらで黒猫を包み、家に持ち帰る。
調べると、区道で見つかったのであれば、区が引き取って供養してくれるらしい。
よかった。
(今朝、玉川出張所に電話をしたら、昼前には引き取りに来てくれた)
その黒猫、実は、三女の前に帰ってきた次女も、見ていた。
お母さんに報告して、二人で「かわいそうね」と。
でも三女は友だちみんなで見つけたこともあって、
「どうにかしなきゃ」となり、私に言ってきたみたい。
えらかったね。
黒猫は、おそらくは自動車にはねられたのだろう。
痛かったろうね。びっくりしただろうね。ごめんね。
「K」という文字を、箱の中に入れてあげればよかったな。
黒猫よ、眠れ。
やすらかに。その黒い毛皮の感触を、ささやかな重さを、私は忘れないよ。