2010年06月03日

なぜ今、カワイイ、が流行るのか?

日本人はとにかく、カワイイ物好きである。 

それ自体はいいのだが、最近はその対象が、人間全てに及んできている。 
ペンギンがカワイイのはともかく、なんで高校生や大人まで、全部カワイくないとダメなのか。 


カワイイとはそもそもどういった感情なのだろうか。 

古典に学べば、最高にカワイイ存在は「小さきもの」である。 

元来、小さいモノはなんだってカワイイのだ。 
ヒトは、小さきもの、つまり幼いものを見たら「良い!」と自動的に思うように、できているのだ。 

それはつまり、カワイイという感情が、生後間もないものを見たときに、それを保護しようとする自動の脳内プログラムみたいなものだということだ。 


その陰には、ヒトの幼体が、生物種としては極端に弱いと言うことがある。 
(他にもパンダやカンガルーもそう) 
仕方ない。だってヒトはみんな(生物的には)未熟児で生まれているのだ。 

頭脳を発達させすぎたため、胎児の頭が母体の骨盤を通らなくなり、外にそのまま出たら死んじゃうような状態(未熟児)で出産するしかなくなった。他の多くの動物のように、生まれ落ちたらすぐ立ち上がって、えさを食べたり母乳を探したりなんて、できない。 

だからヒトという種を存続させるには「幼体保護」の特別プログラムが必要だった。 
・幼体は生命の危険を感じたら、泣いて知らせる 
・成体は幼体を優先的に助ける 

これらを動かすための心の仕組み(=感情)が、 
・幼体→「不快」 
・成体→「カワイイ」 
だったのだ(多分)。 


小さきもの、幼いもの、弱いものを大人が助けるための心のプログラムが「カワイイ」なのだ。 

ではなぜ、今、日本人はなんでもかんでも互いにカワイイを連発するのか 
子ども同士、大人同士、みんなだ。 

それはきっと、「助けて」「守って」という無邪気な叫びなのだろう。 
責任を果たす側でなく、権利だけを主張する側でいたいという願望なのだろう。 
大人である(大人になる)ことの放棄なのだろう。 

「守ってあげたい!」ではなく「守ってもらうっていいよね」という確認の叫びなのだろう。 



ちょっと極論だが、そんなことをふと、思った。 



ちなみに、なぜ女性の寿命が長いのか、についても上記の理由から来る「おばあちゃん仮説」というものがある。これはまた今度。