色鉛筆:完結編~色鉛筆はなぜ丸いのか
最後に残ったナゾ。
丸と六角では、ぶつかったときの衝撃に差があるのか?
鉛筆の端を持って、机に軽く打ち付けてみよう。
コンコン
その時手に感じる振動が鉛筆内を伝わる「衝撃」だ。
この衝撃がどれくらいの大きさなのか。
丸と六角で差があるのか。
六角と言っても角は丸く削られている。その丸さは大体鉛筆の芯くらい。
つまり直径2mmの棒を打ち付けているのと同じということだ。
鉛筆がコンコン机に打ち付けられるときに、鉛筆(=芯)にかかる加速度はどれくらいだろうか。
人間が耐えられる最大加速度は9G。スペースシャトルで4G。
誰もちゃんと計測したヒトはいないと思うが、おそらく数十Gに達する。
加速度の簡単な計算だが
加速度=速度変化÷接触時間
1G=9.8m/s2
なので、鉛筆の速度が秒速1m、机との接触時間が0.01秒とするとなんと20G!である
で、問題はこの「衝撃」である。
丸(直径7mm)と六角(=直径2mmの丸から全体へ)で衝撃の伝わり方はどう違うのか?
すぐ分かるのは机との接触面積が何倍か違うだろう、ということ。
これが3倍違えば、机にぶつかったときに掛かる面積当たりの力(つまり圧力)は3倍違うことになる。
六角では、この3倍の力(=3倍の変形や歪み)が、秒速1km以上の速度で伝わっていく・・・
イメージできるだろうか?
机に軽く叩き付けた鉛筆。
その角は机とぶつかり変形し、局所的に大きな力を発生する。
鉛筆全体を20Gで加速するような力が、木軸全体に瞬時に伝わっていく。
時速数千キロの衝撃波となって・・・
芯を破壊するのはこういった衝撃波なのだろう。
その衝撃波の力が、角と丸では数倍違う。
だから、色鉛筆は、丸。
おしまい。