2012年01月12日

マンガ考 ~『デビルマン』の歌は歌えないけれど・・・

このブログは、今週のダイヤモンドオンラインで好評だった
特別講  ヒトの「幸せ」をマンガから学ぶ  年末年始の読書のススメ!2 ~ナウシカが真に戦った相手とは』
の続編です。

私が高校を卒業し福井から東京に出て、すぐ感じた違和感が2つありました。
昼間でも中高生が街中をウロウロしていることと、夜の雲が明るいことでした。

福井ならそんな子どもは即、補導されます。
そして福井(というか永平寺)の夜の雲は暗闇です。星の見えないところが、雲。

東京ですぐにはわからず、浪人時代を経て大学生になって感じた違和感がありました。
それが『デビルマン』でした。

カラオケに行くと、みんなが『デビルマン』のアニメ主題歌を歌えます。
福井では放送してなかったので私は歌えません。

まあ、そんなことは多いのでたいして気にはなりません。気になったのは、みんながデビルマンを「楽しい思い出」として語ることでした。
デビルマンが「格好いいヒーロー」として、位置づけられていることでした。なんだかビームも出すらしいじゃないですか。見たことないけど。

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私にとってデビルマンとは、コワイ思い出いっぱいの恐怖マンガであり、黙示録的作品でした。

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登場する勢力は4つです。
・サタン+デーモン
・デビルマン(人類とデーモンの合体種族)
・人類
・神

マンガのほとんどは、デビルマン(不動 明)とデーモンとの戦いですが、その後、一気に黙示録的世界が浮かび上がってきます。

昔、神がデーモンたちを滅ぼそうとしたとき、サタンは堕天使となって神と戦いました。
そして今、サタン+デーモンが人類を滅ぼそうとするとき、デビルマンたちは戦いました。人類を、守るために。
しかし、人類はあえなく滅んだのです。

人類は、デーモンによってでも、ましてやデビルマンによってでもなく、恐怖に耐えかねて互いに殺し合い、自滅してしまったのです。
人類の敵は、人類でした。

デーモンたちは残忍で暴力的でしたが、ヒトに対して最も残虐であったのは、ヒト自身だったのです。不動 明は絶望します。
そして訪れる、ヒト無き世での最終戦争。


このマンガ版『デビルマン』は、是非読むべきだ!と簡単にオススメはできません。
アニメは設定や世界観だけを共有し、違うシナリオライターによって描かれた、勧善懲悪の物語であったと聞きます。
しかしマンガは、『少年ジャンプ』での連載を読んでいた私(小学生)に、ある種のトラウマを残すほどの衝撃的ストーリーであり描写のものでした。

永井豪さんが、読者に突きつけたものは、それほど重いものなのです。


さて、まだ読んでいないあなた。どうしますか?

中古なら全5巻が1500円で読めますよ・・・