本とバイクと男の子
今日は次女の運動会で、東京体育館@千駄ヶ谷へ。
ここは、バイクで行くのにとてもよい。
自転車とともに駐車場があり、しかも安くて便利。
最初の2時間無料で、その後も1時間100円だったかな。
次女の「筏流し」等を見学し、お昼を食べて帰り際、その「事件」は起こった。
駐車場から出て、ちょうど歩道上で車道に出る機会をうかがっているときのこと。
「バサッ」
と、何かが落ちた音。
振り向くと、地面に紙の塊。よく見ると、書店のカバーが掛かった厚めの文庫本だ。
その先には20~30代の男性がスタスタ。彼が落としたに違いないが、気がついた様子はない。
こちらはバイクにまたがり、歩道上。
すぐに拾うわけにもいかず、車道に出てバイクを一旦止める。
その上で、ヘルメットを脱いで…と、いろいろやらなきゃいけない、ちょっと面倒だなと思った瞬間、そこに母子が通りかかった。
お母さんは、気がつかない。ゴミと思ったかな。
でも、男の子が、気がついた。
「お母さん、本が落ちてるよっ」
男の子は小学2年生くらい。本を手にとって、お母さんを見上げる。
お母さんは、あらどうしましょう、という感じ。
そこですかさず腕を上げ、男性を指さしながら、声を掛ける。「その本、あの男性が落としたんです!」
お母さんは「あの青い服のヒトですか?」と確認。そうですと私。
もうこれで大丈夫。
ただ、その後も、ちょっと面白いやりとりがあった。
お母さんは男の子に「持って行ってあげなさい」と促す。でも男の子は「え~、お母さんも一緒に行って~」と恥ずかしそう。
その間にも、男性は数十メートル先をスタスタ。こりゃマズいかな。
私はバイクを発進させて、彼に追いつき声を掛ける。
「すみません、本を落とされてないですか?」
いきなり声を掛けられて驚いた様子だったが、腰のバッグを確かめ「あっ」という表情。
私は後方を指さす。
そこには男の子が元気に走る姿が。
それを見て、男性もすぐに走り出す。
それだけを確かめて、私はまたバイクを走らせた。