2008年07月12日

色鉛筆:完結編~色鉛筆はなぜ丸いのか

最後に残ったナゾ。

丸と六角では、ぶつかったときの衝撃に差があるのか?

鉛筆の端を持って、机に軽く打ち付けてみよう。

コンコン

その時手に感じる振動が鉛筆内を伝わる「衝撃」だ。

この衝撃がどれくらいの大きさなのか。

丸と六角で差があるのか。

六角と言っても角は丸く削られている。その丸さは大体鉛筆の芯くらい。

つまり直径2mmの棒を打ち付けているのと同じということだ。

鉛筆がコンコン机に打ち付けられるときに、鉛筆(=芯)にかかる加速度はどれくらいだろうか。

人間が耐えられる最大加速度は9G。スペースシャトルで4G。

誰もちゃんと計測したヒトはいないと思うが、おそらく数十Gに達する。

加速度の簡単な計算だが

加速度=速度変化÷接触時間

1G=9.8m/s2

なので、鉛筆の速度が秒速1m、机との接触時間が0.01秒とするとなんと20G!である

で、問題はこの「衝撃」である。

丸(直径7mm)と六角(=直径2mmの丸から全体へ)で衝撃の伝わり方はどう違うのか?

すぐ分かるのは机との接触面積が何倍か違うだろう、ということ。

これが3倍違えば、机にぶつかったときに掛かる面積当たりの力(つまり圧力)は3倍違うことになる。

六角では、この3倍の力(=3倍の変形や歪み)が、秒速1km以上の速度で伝わっていく・・・

イメージできるだろうか?

机に軽く叩き付けた鉛筆。

その角は机とぶつかり変形し、局所的に大きな力を発生する。

鉛筆全体を20Gで加速するような力が、木軸全体に瞬時に伝わっていく。

時速数千キロの衝撃波となって・・・

芯を破壊するのはこういった衝撃波なのだろう。

その衝撃波の力が、角と丸では数倍違う。

だから、色鉛筆は、丸。

おしまい。