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第34号 台風9号東京直撃!

水辺で地震にあったらどうする?

海辺で、もしくは川辺で地震にあった。震度3程度としよう。慌てはするが、大したことはない。

地震が収まった後、さて、どうする?


大抵の人は、テレビやラジオを付けるだろう。携帯電話で友人や家族に連絡する人もいるかも知れない。そっちは大丈夫? テレビでなんか言ってない?

取るべき行動としては、どれも不正解。

まずは津波を恐れて、すぐに海岸から遠ざかるべきだ。テレビでの警報を待っている間に、津波はやってくる。

川だって危ない。上流のダムが決壊するかも知れない。海岸近くなら津波が遡上してくるかも知れない。


2003年5月、宮城県を大きな揺れが襲った。気仙沼市では震度5強の記録した宮城県沖地震だ。

一帯は、言わずと知れた三陸海岸。津波で1896年には2万人以上、1933年には3千人の死者を出している。

でもヒトは、避難しなかった。


即座に避難したのはわずかに8%※2。残りは避難でなく情報収集行動に走った。テレビにかじりつき、自らに迫る(かもしれない)大災害の予告情報(=津波警報)をひたすら待っていたのだ。

なかでも最悪なのは、沿岸住民の4割が「海の様子を見に行った」こと。

たしかに昔は引き潮の後に津波が来た。でも今度は違うかも知れない。違ったら、一体どうするつもりだったのだろう。津波は遠洋から時速800km※3で迫ってくるというのに。


リスクに対して、ヒトはこれ程に大きく読み間違える。

ビジネスの世界でも、同じ。


これを他山の石と出来るか、対岸の火事とするか。それもヒト、各々次第であろう。

※2 群馬大学 片田敏隆 助教授 調査

※3 津波の伝播速度は水深5000mで時速800km、100mで時速110km、となる。

初出:CAREERINQ. 2007/11/01

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